「毒」の知見

ここ最近のナショナル・ジオ・グラフィックのネット記事で毒についての知見がいくつか上がっていたので引っ張り出してみた。

毒で獲物を仕留めるコモドオオトカゲ(ナショナル・ジオ・グラフィック)

この記事によると、オーストラリアの学者さんがコモドドラゴンの持つ「毒」の通説を覆しそう。

今までは、咬まれた動物の傷口にコモドドラゴンの口の中にいる細菌が大量に入りほどなく敗血症になって死ぬ、という説が通って来たのだが、このリサーチだと毒の成分による血圧の低下によりショックを起こして衰弱するとのこと。
血圧の低下から失血も進むような記述があるけど、ここはちょっとよくわからなかった。失血が進んで血圧低下ならわかるんだけど。。

で、イグアナやオオトカゲ、アシナシトカゲからも何かしらの成分が見つかっていたと。毒だらけじゃん。。

ここでもう一つ紹介したい記事

あらゆる種類のタコが有毒と判明(ナショナル・ジオ・グラフィック)

ヒョウモンダコが人を死に至らしめる毒を持つことは知られていたが、他のタコにも毒があることを突き止めたという記事。ただ、人に対して影響があるのはヒョウモンダコくらいらしい。獲物である二枚貝などに対してよく効く毒を打ち込むようです。

ここで「毒がある」に疑問を持ちませんか?

「人に対して毒がある」を有毒と考えるか、「人には影響がないが、他の生き物を死に至らしめる毒」を有毒と考えるかです。

私がボルネオでヒメヘビの一種がミミズに咬みついたとき、あれほど生命力のしぶといミミズがものの30秒程度で動かなくなりました。きっとこれも「毒」なんじゃないかな、と思いました。

ハブやニホンマムシ、ヤマカガシやウミヘビの仲間が有毒であるのはよく知られ、ヒメハブやトカラハブなんかだと弱い毒と言われます。このあたりは実際に被害が発生しています。

もちろん強烈な毒をもつけれど、実際に咬まれる事故のようなものが起こっていないヒャンやハイ、イワサキワモンベニヘビなんていうのもいます。
これは性格的なもの、体が小さいためなどが考えられます。

文献により、ガラスヒバァは毒を持つ扱いになっています。ただ、咬まれることはよくあるのですが、人に被害が出た記録がないようです。ただし、ガラスヒバァの「毒」を多量にマウスに打つと死亡するようなデータも出ているため、「毒」と扱われるようです。

このように微妙な、そして別の目的として「餌だけに効く」ような毒はどのヘビも持っているのかもしれませんね。

一般にヘビの世界で「毒ヘビ」と呼ばれるものをピックアップしてみると
・人に健康被害をもたらす能力がある
・毒を生き物に送り込むための「特殊化した毒牙」をもつ

ここが重要視されています。なので、被害はないけどこの2つを備えるハイやヒャン、イワサキワモンベニヘビは毒蛇。毒牙がないガラスヒバァは毒蛇としない説明を受けたことがあります。(ヤマカガシはちゃんと毒牙があるので毒蛇です)

トカゲはおそらく考え方は違うのでしょうけれど、アメリカ大陸にはアメリカドクトカゲとメキシコドクトカゲという有毒とされるトカゲがいます。健康被害から考えると上の研究が正しければ
コモドドラゴンも有毒という分野におかれるのかもしれませんね。

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はね

千葉に移動して友人宅にお泊りです。

友人は私と大学同期の獣医師だけど、
今のところ、それぞれ獣医とは違う職種を進んでいる。

彼は、自分より一足先に、
モノづくりの世界へ入っていきました。

彼の作品の一部。
いろいろなものを作っているけど、
作品の根本には動物がある。
そのなかでも野生動物の占める割合はかなり高い。

特殊な粘土を使って、鳥の羽を作成している。
これはカケスの大雨覆。
実は片方が本物でもう片方は作品です。

ネットでは手触りなどは伝わらないけれど、
粘土とはいえ、やわらかく可動性なので
感触も本物に近い。

一部は固めにコーティングして、アクセサリとして利用できる。

私も今回お買い上げ。
ストラップにしました。
オナガと、カケスとコケワタガモでどれにしようかかなり迷ったけど、
思い入れのある鳥の作品を見つけたので、これに決定。

さあ、いったい何の鳥でしょう~?
(ヒント:冠羽と三列風切です)
(ヒント:西表島で見ましたが、渡りの時期には北海道でも見れることがあります)

そんな友人のサイトはこちらです。
栃木屋工房

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ラナウイルス

カエルツボカビ感染症は、まだ皆様覚えていますか?

日本の野生下での大量死亡発生の記録は今のところないようですが、カエルツボカビにもいくつかのタイプがあることがわかってきています。

強い毒を発生するタイプのカエルツボカビに
日本の固有種を感染させると 死亡もおこるようですが、
強い毒を発生しないタイプのカエルツボカビが 日本にはいるようです。

ただ、今のところ日本での大量死は起こっておりませんが、
強毒株のカエルツボカビがまき散らされた時には、
日本でも大量死が起こりうる状況ではあるので、
引き続きフィールドへ出る皆さん、飼育されている皆さん、
このことを留意しておいてください。
(私が提供したエゾサンショウウオの粘膜サンプルは、
結果が出るにはもう少し時間がかかりそうです)

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>’ )~~~~~~~~

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今回お話しするのは、
もしかしたらカエルツボカビよりも カエルの大量死を引き起こしているかもしれない、
ラナウイルスというウイルスについてです。

ツボカビでカエルの致死の研究が進んでわかってきたところも大きいのかも しれませんが、
北米などでは、カエルツボカビよりも大量死の死因になっている パーセンテージが高く、
非常に警戒されています。

ツボカビと同じく、麻布大学で調査に入るようですが、
カエルの大量死招く ラナウイルスを警戒
2007年の時点では、日本での発症例は見つかっていないそうです。

が、2008年はどうだったのでしょうね…?
上記リンク先からの引用です。
ご参考ください。

ラナウイルスは主に魚類、両生類、爬虫類に感染する。オーストラリアでスズキの仲間やニジマスの幼魚が大量死する被害が出ている。 宇根准教授らが海外の論文で調べたところ、ラナウイルスによるカエルの大量死はアジア、欧州、豪州などで約30件の報告があった。両生類に感染するラナウイルスの仲間は約20種類あった。北米で06年に実施した約110地点の調査では、カエルの死因の43%を占め、ツボカビの16%を上回ったという。 カエルの主な症状として、手足が出始めたオタマジャクシが感染し、出血で腹が赤くなる特徴があるという。ラナウイルスは55度以上なら15~30分で死滅するが、低温や乾燥には強く、冷凍しても生き延びる。 現時点では、日本国内への侵入の報告はないが、ペットとして、多数のカエルが検疫なしで輸入されており、国内の在来種も感染しかねない。

カエルやサンショウウオ等の大量死を発見してしまった人は、
これらの病気を研究している麻布大学に情報提供してください。

麻布大学獣医学部病理学研究室内
爬虫類・両生類の臨床と病理のための研究会
TEL・FAX 042-769-1628

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シロマダラ生息調査研究会

先日、faura No.22が発売になったのですが、その中のTopicsで一般に公表されたので、記事にします。

今年の夏、北海道石狩市でシロマダラが撮影されました。
一般の方が携帯電話で撮影したのですが、特徴はまさにシロマダラでした。

捕獲確認に至っていないので完全な確定ではないのですが、
おそらく、新生息地として調べることになるようです。

円山動物園や酪農大学などの主導で調べて行くことになるのですが、
幸運なことに、このシロマダラ生息調査研究会のメンバーに
私も含めていただけました。

シロマダラはまだ、標本のあるような確定的な記録はほとんどなく、
札幌近郊で捕獲された標本が3個体あるのみとされています。
追記091119:標本が残っているのは1個体でした

今年は京都府でもシロマダラが発見され、
その報道によると「京都府初記録」だったそうです。
(知らんかった。。。)

このように、普段から気にされていないで実はあちこちに生息していた、
ということも考えられるため、今後の動きが楽しみです。

個人的には北海道でもシロマダラ探しはしてきていたんだけど、
来年は是非、北海道産のシロマダラを撮影したいですね~!

faura22号から25号まで、
巻末カレンダーを私が担当する予定で、
「北海道のヘビ図鑑」をテーマにしておりますので、
最終号くらいにはシロマダラ、載せたいですね!

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