ブラーミニメクラヘビ

*2021-10-20 記述
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ハイライト部分は著者の経験による主観なので、引用する場合は注意して下さい。

和名:ブラーミニメクラヘビ(ぶらーみに盲蛇)
英名:Brahminy blind-snake / Flowerpot Snake / Bootlace Snake
学名:Indotyphlops braminus

ブラーミニメクラヘビ

沖縄県沖縄島産. 撮影:ばいかだ

 

生息地
大隅諸島以南の南西諸島・伊豆諸島・小笠原諸島。長崎県や静岡県、高知県でも確認されている。分布拡大が巧みなため、温暖地域なら今後も見つかる可能性がある。

特徴
全長1622cm。体色は茶褐色~濃褐色。頚部にはくびれがない。鼻先はとがらず、丸い。一見ミミズのように見えるが、よく見れば鱗があって、痕跡的な目があり、透明な舌もちょろちょろと出すので、ヘビであることがわかる。非常に目は小さいため、撮影するのは大変。尾はきわめて短く、先端は棘状になっている。

ブラーミニメクラヘビの舌

沖縄県沖縄島産, 撮影:ばいかだ

 

ブラーミニメクラヘビ

沖縄県西表島産, 撮影:ばいかだ
目は撮りにくい

 

ブラーミニメクラヘビ

沖縄県西表島産, 撮影:ばいかだ
目は撮りにくいよ…

 

体鱗
胴の大部分で20列。腹板が無いことと、体が小さいことで非常に数えにくい。尾下板も無い。識別に関しては国内には類似種がいないため、体鱗を数えるまでも無い。

行動・習性
地中性、基本的に夜行性傾向と思われるが、昼間の方が見つけやすい。夜のうちに土や石の下から這い出し、側溝などに落ちたものを朝に見つけるパターンが多い(暑い昼には干からびて死んでしまう)。捕まえると尾端で指の周りをチクチク刺してくる。普段は土に潜るときに使うものと考えられており、捕まえると指の間に潜って逃げようとして尾で推進力を得ようとしているように感じる。痛くもなく、傷になるようなことはない。また、尾には毒もない。しかしこの行動が威嚇行動と受け取られる事が多いようだ。這って動くときはミミズのような蠕動前進ではなく、ナミヘビの動き(波打つような動きで前進)をする。

ブラーミニメクラヘビ

沖縄県西表島産, 撮影:ばいかだ
右側が頭部

 

環境
耕地に多い。側溝にもよく落ちている。また、あまり「べちゃべちゃ」過ぎない適度な湿り気を持った土の上の石の下、板、倒木の陰でもよく見つかる。意外に乾燥した土質でも見つかる事がある。

食性
柔らかな昆虫類(アリの幼虫やサナギ、シロアリや昆虫の卵など)や、微細な節足動物。捕食は野生状態で見ることは難しいが、飼育下では簡単に観察できるようです。「咬んで、殺して、呑む」という感じではなく、「食いついて吸い込むように食べる」感じです。(検索したらtwitterに動画がありました。いい時代になったものだ…)

幼蛇
体は小さいが、外観は成体と変わらない。12cmの卵から、もやしの出芽のように生まれ出てくる。(孵化時の全長は56cm)

ブラーミニメクラヘビ卵

沖縄県石垣島産, 撮影:ばいかだ

 


無い。尾で刺すときに毒を心配する人もいるが、尾にも毒はない。

その他
単為生殖で増える(メスだけが生息し、オスはいない。交尾することもなく卵を産み、母親のクローンが孵化する)。白く長楕円形の卵を36個産む。熱帯では産卵は周年に渡るようだが、日本では初夏に産卵された例があるようです。植物の鉢などに紛れて輸送され、分布拡大することが多いようだ。

貴重度
外来種原産地は南インドではないかと考えられている。世界の熱帯~亜熱帯に分布。レッドリストや外来種の指定リストには現在入っていない。IUCN版(世界版)Red-List Ver3.1でも未評価。

主観
南西諸島に行くとわりとよく見つけられる。側溝・倒れた看板の下にいるありふれた種類。遠くから見るとミミズと本当によく似ていて、生息場所もミミズとかぶっている。雨が降ると出てきて側溝に落ちていることも少なくない。このパターンはタカチホヘビの仲間やヒメヘビの仲間でもみられるので、地中性のヘビには、雨が何か生態に重要な働きを及ぼしていると思われる。日の当たるところに出すと、日陰を求めてひたすら逃げ惑う。土の上だと、素早く潜ってしまう。

ブラーミニメクラヘビとミミズ

 沖縄県西表島産, 撮影:ばいかだ
ミミズと

 

ブラーミニメクラヘビ

沖縄県西表島産, 撮影:ばいかだ
入り込める穴を探す

 

注意
当ページは「へび図鑑」の1ページです。今後も新知見等出ましたら随時更新します。内容(画像を含む)の無断転記・転載は禁止です。使用する際には「ばいかだ」に一報し、サイト名(へび図鑑)、撮影者、引用URLを掲示してください。
撮影、説明の作成は、ばいかだ(徳田龍弘)が行いました。