滝野イベントと5月3日ハープソン

今回は5月3日に行ってきたフィールドの記録です。
(※ハープソンの地図のメッシュ番号はこの地図で確認しています)

5月3日 札幌市南区滝野すずらん丘陵公園 メッシュコード644132(石山)

この日は滝野すずらん丘陵公園での、両生類イベント。「エゾアカガエルのたまごを探そう!」でした。今年は公園ではエゾサンショウウオの産み始めが遅くて担当の方々も心配していましたが、無事産卵も進んで、お天気もよく、ゆっくりうららかにイベントが進みました。イベントの開始前に、こんなものがいました。

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コルリ♂。すごく久しぶりに見た気がする…。春先は、こういった鳥が建物に当ってしまったりして落ちていることが多いようですね。この子は、脳しんとうを起こしたらしく、しばらくこんな感じでしたがスタッフさんに後で温めてもらって、イベント開始時に放鳥されました。飛んで行けて何より。

イベントでは、産んであるエゾアカガエルの卵を見ながら、

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エゾサンショウウオの卵嚢もひとつ拝借して観察、(今回は双子はなかったようですね)

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スマートフォンでしか写真撮ってなかったので、twitterの引用ですが、この公園敷地内では一部、エゾサンショウウオの越冬幼生が見られますね。


最後は冬水を残していた田んぼで生き物を観察します。冬水田んぼも年によって水位も違うので、越冬の可否によってか、生き物の相も若干違いますね。今年は例年見られるモノアラガイ類やツチガエルのオタマジャクシは少なかったように思います。

それでも、イベント終了後まで残っていた家族がツチガエルの越冬幼生を1匹見つけていました。

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上からだとわかりづらいので、横から見て目の黒十字模様を確認。

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撮り方が適当すぎて、証拠ギリギリの写真になってしまいました。ツチガエルで自分個人のハープソン3種類目。この日は暖かかったせいか、ニホンアマガエルの幼体がちらほら見つかっていました。

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この大きさのニホンアマガエルは非常に可愛いね。ハプ4種目!ご参加下さった皆さまと、滝野すずらん丘陵公園のスタッフの皆さま、ありがとうございます。この後、石狩方面におつかいがあったので、大きく移動していきました。

5月3日 札幌市手稲区前田森林公園 メッシュコード644152(銭函)

過去に、アズマヒキガエルの写真展示を拝見する機会があり、写真のキャプションで札幌市手稲区の前田森林公園で撮影とありました。ずっと気になっていたので、ヒキガエルの様子を見に行ってみました。(ヒキガエルは北海道では移入種です)結論から言うと、両生類は確認できませんでした。いろいろ、思っていたのと違って、森林の公園というよりは、市民が憩う都市公園でした。(だから逆にヒキガエル持ち込まれててもおかしくないかも、という考え方もできるんだけど)

水場はいくつかあったけど、大きな水路は綺麗に整備されていて、特に両生類は見られず。公園脇の川(用水路?)でも、特に両生類の姿はなく。一番あやしそうな池は、ほとんど水が抜かれていたので、こちらも姿や卵はありませんでした。(少し水の残った湿地があったけど、こちらも何も無しでした)この日、ヒキガエルはたまたまいなかっただけかもしれないけどとりあえず、少しホッとしました。

が、他の両爬も見られなかったので、記録なし。このあと石狩でお使いをしてきたんだけど、石狩へのお使いは、ヒキガエルの駆除個体(冷凍)の受け取りでした。石狩灯台近くの親船周辺で、ヒキガエルの発生が見られており、今年、名無沼という場所に産卵に来る個体を試験的に駆除する活動が行われています。

石狩で冷凍されたヒキガエルの死骸は、このあとは、うちの個人の冷凍庫で冷凍して、専門学校の授業での解剖に使用する予定です。が、駆除個体も5月3日の時点で200に迫る勢いで、うちの冷凍庫が一杯になってしまいました。

外来種の有効利用はするべきではないという考えもありますが(産業的に軌道に乗ってしまうと、「駆除しきってしまうと産業がなくなる」という考えも出てきて、本末転倒になることもあるので…)とりあえず、ヒキガエルは学生さんの知識になってもらう目的で解剖用に保管はしていきますが、毎年、逐一、考えて行かないとならんですね。

せっかく、家から少し離れたところに来たので、ヒキガエルのパトロールをしてみましたが、この日は昼に動いてたこともあり、姿は見られず。帰宅方向で池などがあれば観察して戻りました。

5月3日 当別町スウェーデンヒルズ メッシュコード644163(太美)

少し大回りして、当別町を通過していくと、途中の森に融雪プール状の池があって、水芭蕉もいくらか見られたので、それなりに長期に水があると思って覗き込むと、ばっちり両生類の産卵がありました。

エゾアカガエルの卵塊。

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だいぶ夕方の薄暮状態で、水面の反射がひどくて

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エゾサンショウウオの卵嚢もあるのに写りにくいよ!望遠+PLフィルターがあれば楽だったなー…。

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池をぐるぐるまわって、かがんで角度変えたりして、なんとかかんとか証拠になる程度の写真が撮れたのでよかった。この日はこれで日没試合終了。(夜のヒキガエルパトロールは体力の限界でやめました)次にフィールド出るのは、いつになるかなー。

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ハープソンHokkaido2016はじめました

ハープソンの期間がやってきてしまいました。今年は、期間が半端なく長いので、皆さんもあちこちに行った際に記録しておくと、良いことあるかもしれませんね?今年は、去年よりは種数を出すつもりでいます。さて、今日も散髪に行くついでに、フィールドしてまいりました。

※地図のメッシュ番号はこちらの地図を使うと楽ですよ

4月16日 札幌市南区澄川 メッシュコード644132(石山)

自宅から直線距離で1,2を争うエゾアカガエルの繁殖地。今年も周りの様子からして、産卵始まっているはずだ…。もしかしたらサンショウウオもいるかもしれない!と、楽しみにしてやってきたが、池には全く卵はなく…。エゾアカガエルの卵すらもない。異変という感じでもないのだけど、早かったかなあ。

潜んでいるエゾアカガエルの成体がいるかもしれないので、網で池をガサガサしてると、おお、いた!…けども…エゾアカガエルのご遺体。メスで、この時期に見つかるものは、腹の中の卵が水を吸ってしまって痛々しい物になってしまうので、

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見たい人だけ、画像クリックして下さい。一応、ハープソンの生息確認の写真なのでご容赦下さいね。兎にも角にも、ハプ2016の記念すべき1種目はエゾアカガエルでした。結局今日はここで見れたのは、これだけ。消化不良のため、もう1箇所まわってみることに。

4月16日 札幌市南区石山 メッシュコード644132(石山)

ここは今見つけている、自宅から最も近いエゾサンショウウオの産卵場。しかも越冬幼生もいるなかなか素敵な場所。何故かエゾアカガエルは見つけていない。みんな食べられて減ってったのかな。こういう、偏りって少し面白い。

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早速、エゾサンショウウオの卵嚢も発見。ハープソン2種め!

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水中で卵の胚は、みんな重力で下向いてるんだよね。ちなみにここの産卵場は、この間の記事(Twins)でふたごを見つけたところ。上の写真でも、左の卵嚢にそのふたごを再発見することができたよ。

しかしだね、昨年生まれの越冬幼生が卵嚢にちょっかいを出してる。

別に中身動いてないのに、明らかにかみつきに行ってる。動く幼生になったら、襲って共食いするのはわかるけども…。「たべもの」として認識しているのかなあ…。エッグイーターと言われるカエルもいるけど、越冬して翌年の卵や幼生食べるというのも、エッグイーターみたいなものだね。

ふたごのいるちょっと貴重(?)な卵嚢なので、破られる前に、しばし拝借。

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取り出して観察。中の胚は神経胚くらいまで成長してるようだ。

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この卵嚢、驚いたことにふたごが4卵、みつごが1卵あった!

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卵嚢の首(枝などとくっついてるところ)の方には薄い縦筋がありました。

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卵嚢の尾のほうは、筋はなかった。エゾサンショウウオの卵嚢の筋は、いまひとつはっきりしないし、均一な感じがしない。折角なので、もうちょっと調べて報告しておこう。気が向いたので、もう1箇所行ってみよう。

4月16日 札幌市南区簾舞 メッシュコード644132(石山)

この場所は、だいぶ標高が上がっていくので、例年の産卵はやや遅め。なので、雪解け具合の確認だけしに行ってみました。が

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ちょっと産み始めてました!エゾアカガエルの卵塊3こくらい。涼しいせいか、鳴き声はきこえないけど少しずつは始まっておるのだな。ということは、少し標高の低いあそこなら…ということであと1箇所。

4月16日 札幌市南区豊滝 メッシュコード644131(定山渓)

と、その前に。豊滝ではほとんど探したことがなかったので、道なりに少し見たけど、見つからなかった。山の奥行き過ぎたかな。だいぶ雪残ってた。あとで地図みたら結構豊滝は散策のしがいがありそうなとこね。

ということで、当初の目的地に。

4月16日 札幌市南区小金湯 メッシュコード644131(定山渓)

かなり涼しいところだけど、産卵する池の周りは雪どけがそれなりに早い場所なので、産卵は始まってるはず。

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一応、エゾサンショウウオの卵嚢は見つけれた。この小さな池はとても観察が容易で重宝してきたけど、ここ数年、池の周りの環境が芳しくなくて心配。

周りは良い環境だから、個体群が死滅することはないだろうけど、もったいないな。

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エゾアカガエルの卵は結構たくさん。まだまだ増えていくはずだ。

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産みたての卵塊も。しっかり水場に産まないと、干からびるよ。水中の泥の中に埋まっていたので、

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掬ってみた。オスメスセットだ。今年初の成体(生きてるやつ)確認。

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地味だけど、地味に嬉しい春の初モノ。気がついたら、散髪に行くのすごく遅くなってたよ…。

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Twins ふたご…?

雪がまだ時おり降っている札幌ですが、積もった雪はほとんど消えて、春は確実に進んでいますね。無事にエゾアカガエルの卵塊も見ることができ、今年の両爬は2種類みれました。3種目はツチガエルかヒキガエルあたりになるのかな?(移入種だけれども)

今年の、初見だったエゾサンショウウオの池を見てきました。基本的には警戒心強いので、水草に潜り込んじゃうんだけど、ぼーっとした個体は写真撮りやすいね。

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そしてこの池にも、今年の初のエゾサンショウウオの産卵が見られました。

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とりあえず、産卵があると写真を撮る習性のある自分ですが、撮った写真を整理していて、今回は面白いもの見つけた。自分としては、かなりスゲーレアもの見れた気分なんだけど、一般的に価値があるものなのかどうかはよくわからない…。じつは上の写真にすでに面白いもの写ってるんだけど…。

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これだ!おお、すげえ!生まれて初めて見た!、と思う…!

アップにしてみると

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これ。ひとつの卵膜のなかに、2つの胚が!

後ろの卵の胚がたまたま位置構造的に同じ卵内に入ってるように見えてる(アーキテクト)のかと思ったけど、別カットの写真から抜き出しても

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やっぱ同じ卵内に2つ胚がある…。

これ、実は写真撮ってるときには全く気付いてなくて家で写真整理してて、気が付いたのね。鶏の卵でいう、ひとつの卵に2つ黄身が入ってる状態。お得感あふれる幸せ卵だね。

鳥の卵では、2つの胚が排卵された後に同じ殻でくるまれてしまうことで双子卵ができることがある。(二卵性双生児)いろんな動物で胚が分裂中に2つに分かれて双子になることもある。(一卵性双生児)

このサンショウウオの卵は分裂前の胚が2つ入ってるので二卵性の卵なんだろうな。両生類の卵がメスの体で出来上がっていく過程がよくわからないので、これ以上のことはわからないけど、とにかく面白いもの見た。一度の産卵の子供たちをすべて双生児的に言うなら、サンショウウオなんて百卵生百生児みたいなものなんだけど、1卵に2つの胚が入ってる両生類の卵は初めて見たよ。

近日中に、この卵のその後を見に行きたいけど、たぶん、この卵嚢の周りにほかのサンショウウオが卵産みつけてどれがこの卵嚢だかわからなくなってそうだ。

エゾアカガエルとエゾサンショウウオの産卵は、フキノトウが出て少しすると始まるイメージだけど、産卵開始後に出てくる花たちも増えてきた。(いわゆるスプリングエフェメラル)

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エンレイソウや

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キバナノアマナ(かな?)

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エゾエンゴサク。このあたりが池の周りの常連の花。ほかにミズバショウも一部、花をつけてきています。

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シマエナガも巣材を運びながら忙しく飛び回っています。

そして私は、出たり休んだり、それなりのペースで生活しています。とりあえず、いきてますよー。あ、そうだ、あさってからハープソンの期間が始まりますよー^^

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北海道爬虫両棲類研究報告 Vol.004

I edited the “Bulletin of reptiles and amphibians in Hokkaido Vol.004”.

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北海道爬虫両棲類研究会発行の北海道爬虫両棲類研究報告 Vol.004を編集しました。会の発行物ですので、一般書店では購入出来ません。ご注意ください。

内容やお求めに関してはこちらから。

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産卵してあった

エゾサンショウウオの越冬幼生で今年の初両生類フライング(4日前)でしたが、今日は札幌市内で産卵確認してきました。半年ぶりに水面下を見たので、最初は水面のキラキラとか、浮遊物でよくわからず、見つけられなかったけど、慣れてきたら

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お?あったあった。

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ここに2対。エゾサンショウウオの卵嚢、お久しぶりでした。色んな所をゆっくり探したら、見えるやつで全部で11対あった。

エゾアカガエルもあると踏んで、池の周りをぐるぐる、ぐるぐる探してみたけど、ない…。ないはずはないと思うんだけど…。捜索範囲をササヤブの向こうまで広げると

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あった!エゾアカガエルの今年初の卵塊。まだ膨れきっていないから、ここ数日の産卵かな。胚がまだ、ツブっとしてて、産みたて感が満載だった。両種とも産卵の自分での確認は今季初。両生類のシーズンインですね。

冬っぽいこれらのメンツはそろそろサヨナラですな。

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マヒワ♀型。

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マヒワの綺麗なオスでした。

自宅の庭の雪もだいぶ解けて、去年の秋に期待して植えたギョウジャニンニクが
いつの間にかいい具合に伸びてきてた。

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先っぽを刈り取れば、また生えてくるけど、株が死なずに取るならシーズン何回くらいまで取っていいものなのかな。2回取って3回めは茂らせてやろうかなー。

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阿寒湖周辺の森と水辺の生き物たち

001‐表紙

北海道爬虫両棲類研究会発行の「阿寒湖周辺の森と水辺の生き物たち(北海道爬虫両棲類研究報告 別冊002)」を共著いたしました。会の発行物ですので、一般書店では購入出来ません。ご注意ください。

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著者:照井滋晴 共著:徳田龍弘

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