イリドウイルス流行中?

円山動物園で、外来種の展示とトークがあったので、聞きに行ってきた。トークは午後からだったので午前は初の「円山」登りしてきました。(ハープソンの最終日だしね!)円山の登山ルートは主に2つあるので、登りと下りで違う道通ってきました。

見出しの話は最後の方に。

動物園の裏から登るルートで歩き始める。全体的にササ多め。

アザミの類にマダラテントウ類がくっついてた。たぶんエゾアザミテントウだね。

近くのササにも。お休み中かね。

翅端でっぱり。

腿節も真っ黒なので、オオニジュウヤホシではない模様。足の関節から出す黄色い汁まみれになってしまった。

マクロ装備をそろえたので、やや小さいもの探して全く足が進まない。同じくササの葉の上に

エゾハサミムシかな。

あー、わかんないやつだ…。

うーむ

ヤマキサゴ…?微小貝系は頭に入ってない…。

これはパツラマイマイ。これはぎりぎりわかる。

白いマイマイ。これはどなた?

ヒメマイマイの白いやつでした。成長すると渦が伸びてくのがわかります。

いつも悩んでたやつ。殻口が大きいので、エゾマイマイだと思ってはいたけど、道南にはウスカワマイマイもいるよ。というハンドブック情報によりわからなくなってきたやつだったけど、ようやく掴めてきたような気もする。

貝の裏の真ん中の凹み(ヘソという)が丸見えはエゾマイマイで良い。ヘソがからの構造的に丸見えじゃないとウスカワマイマイもありえるようです。
(ネット写真見た感じだとウスカワのほうが殻頂も高いようなんだけどね)

エゾマイマイもシマシマと、白いの発見。

これはヘソまるみえでいいんだよね。マイマイ奥深し。

久しぶりにキツリフネが目についた。変な形の花だよね。

若い変形菌かと思ったけど、でかかったので変形菌ではないのかな…。

さて、円山の頂上付近、岩もあるのでトカゲでもいたらいいなあと思ったんだけど、やっぱり人が多いのもあって、姿は確認できず。その代わり、頂上近くのお堂(?)の石の隙間にたくさんのワラジムシやオカダンゴムシを見つけた。で、そのなかのいくつかの個体が

青いワラジムシでした。

ちょっと角度違うとくすむけど青い。

こんくらい色違う。
青いダンゴムシはイリドウイルス感染症による、と言われていて、わりといろんな甲殻類もこの青くなる病気があるんだって。このワラジもそうかな。

別個体。妙に青いのが多い。さらに

青いオカダンゴムシも。

くらべるとやっぱりかなり違う色してる。

青いワラジムシとオカダンゴムシ。見た個体の半分くらいは青かった(濃さに差はあったけど)んだけど、ウイルスが原因の変色だったら感染率高いなー。わりと死んじゃう病気みたいだから、アウトブレイク状態なのかも。(秋に感染してるものが多いような話もネットにはありました)

いろいろ混沌としてました。
(感染(発症?)してなさそうな個体と接触させないほうが良かったのかも…とあとで強く反省)

結局、円山登山では両爬は写真撮れず。下山中にほかの方が「さっきアオダイショウがいたよ」と教えてくれたので、急いで戻ると、体の後半がヤブに入るところが見えただけでした…。

下山後には動物園で外来種の展示、トークを拝見して、生まれて間もないアオダイショウを見せていただいて帰りました。

臍孔の写真撮ってきましたー。

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滝野でヘビ講座 2017

滝野すずらん丘陵公園でヘビ講座をしてきました。午前中は、小学生向けのヘビのお話し、午後は、大人向けのマニアックなヘビのお話し。

いつも限られた時間で何を話すのか、割と悩むのだけど、マニアックのは世界のマニアックにしてしまったのでもっと日本、北海道のマニアック路線でお話したほうがより良かったかもしれないなと、ちょっと反省です。

今回は野外観察をしない講義だったので、特別ゲスト(事前捕獲の子たち:講義後リリースされました)の登場は、やはり好評でした。

若いアオダイショウに

縞の薄めなシマヘビ

カラスタイプのシマヘビ

今年はなんとジムグリも!

ヒガシニホントカゲのこっこ。

ニホンカナヘビ。結構見ごたえがありました。

講座が終わったあと、捕獲した場所にヘビたちをリリースしに行ってくるときに少しいきもの観察しました。

ヨツスジハナカミキリ。

ちょっとうれしいクロイチゴ、かな。花の時期なら赤い花が付けば確定だ。少し採って食べたけど、まだまだ固くて酸っぱかった。

ハネナガフキバッタ。

これは、いま札幌市でやっているさっぽろいきもの探しの対象種なので、
あとで報告しておきました!

ハープソン的には、ニホンアマガエルの声を聞いたよ。録音できなかったから、参考記録だけど…。

8月14日には、アマガエルの探すイベントを滝野でやるのでその時にちゃんと記録しておこう。

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シロマダラの調査2017

北海道希少生物調査会に混じって、藻岩山麓でシロマダラの調査をしてきました。なんと取材も来ているということで、シロマダラがバッチリ見つかるといいなあ、と期待して臨みます。

この日は無風で、ジトッと暑い。水場も近いとあって、蚊の大群が襲来する。最初に面倒くさがって、ちゃんと虫除けを完備しなかったのをすぐに後悔した。

常に振って歩いていた手でこの有様。耳の穴とか入ってきて、わややった…。痒みも数日続き、刺している間も微妙に痛みを感じることがあるからタチが悪い。

立ち止まると黒雲のように襲ってくるので、こんなダンゴムシの写真撮るのでも、イライラMAXです。

きれいなオカダンゴムシだった。

で、さくっと結果を書いておくと、残念ながら見つかった生きたヘビは1匹。別チームが岩の隙間でシマヘビを発見していました。その他に抜け殻が、おそらく8匹分。ぱっと見てアオダイショウ、シマヘビとわかるものもあったけど、千切れてるのがほとんどなので、持ち帰って精査することにしました。

まずは

アオダイショウ。比較的長い抜け殻で残っていたので、計測しやすかった。胴の中央付近で体鱗列数は23だったので安心してアオダイショウ確定。

わりとボロボロのものが多かったけど下記も確定。

シマヘビ1

シマヘビ2

この2つは胴の中央付近で体鱗列数19で確定。

鱗にキールが無いか目立たない&総排泄口の前で体鱗列数17は実はシマヘビしかいないので、これもシマヘビ確定。(アオ19、ジム19、シマ17、シロマ15、マム・キールある17らしい)

ほんでこれがマムシっぽい太さあるかも…と期待したやつ。

もうカピカピで張り付いちゃっていたので、少しずつウルカして、体鱗の状況を確認できるようにしていく。

で、細かく観察したところ

目立つキールなし。はいマムシ消えたー。

ぼろぼろで体鱗列数も数えられないし、部位もわからないので、なんとなくシマヘビのような気がするけど、お蔵入り。

その他の抜け殻も1個を除いてお蔵入り。

じゃあ、残りの一個。

薄くて無紋。胴体部37cm分の抜け殻。

キールも無いか、ほとんど目立たない。

拾ったときはジムグリかなあって思ってたんだけど、自宅で洗ってヨレをほぐして乾かすと、数えられるところの体鱗列数は全て17だった。

この部分が胴の真ん中付近ならシロマダラ、胴の後部後半ならシマヘビという2択になった。

この時点で、鱗の質感がシマヘビっぽくないので、ウキウキしてきたんだけど、抜け殻が胴のどのへんなのかを推測するために、いろんなヘビの抜け殻を数えていじり倒して、あーだこーだ検討していくと、光が見えた。

こ、これは胴の中央を含んでいる抜け殻だ…。ということで、シロマダラの抜け殻で大丈夫でしょう、という判断に落ち着きました。

せっかくいじり倒して、あーだこーだ検討したので、来年初めに出る、北海道爬虫両棲類研究報告Vol.005に事の顛末を寄稿しとこうと思う。

7月22日 札幌市南区藻岩山麓
札幌エリア 644142
シマヘビ成体1
シマヘビ抜け殻3
アオダイショウ抜け殻1
シロマダラ抜け殻1
不明抜け殻3匹分

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今年の初蛇(帯広~夕張)

帯広市の百年記念館でハープソンの説明と「十勝の両生類と爬虫類」の講演をしてきました。

勉強会風の雰囲気になって、いろいろやり取りしつつお話もできたので
良かったですよ!

帯広は、この春~初夏は、晴天が多く、若干乾燥気味とのことでした。

私がフィールド観察会を企画すると雨が降るジンクスがあるので、今回は講演のみとしていたのですが、なんとこの日は晴天。そして猛暑!!日本一の最高気温を記録していました(37.1℃)これはこれでフィールドしてたら、爬虫類でも出にくかったかも…。

講演が終わってから、夕方に記念館の学芸員さん、お話し聞いてくれた学生さんと十勝川温泉の方に行ってきました。

ハープソンエリア 十勝川温泉 644332 7月15日

爬虫類がよくいるというコンクリート擁壁を探っていくと、まずは抜け殻ゲット。

シマヘビのものでした。ついに今年はじめてのヘビ(の痕跡)!!

その後、コンクリートの亀裂の中で、

休んでるヘビ。シマヘビの無線タイプだったんだけど、写真は種の同定の証拠的に残すのが難しかった。でも今年の初「生」ヘビです。なんだか感慨深い…。

その後、塩ビ管にて

アオダイショウの胴体を発見!喜んで引っ張り出すと、

脱皮直前の成体のアオダイショウでした。今年初の触れ合いヘビです。初シマ、初大将でちょっとテンション上がります。

帯広市内に戻る途中、エリア的には同じエリアですが、

アオダイショウの幼蛇が轢かれていました。去年生まれの子かな。

夕方から出て、こんなに見れるなんてとても素敵なコンクリートでした。

帯広で1泊し、翌日は夕張あたりの調査をしてみようと決めたけど、ちょっと雨雲がやってきそうなので心配。(やっぱりフィールド絡むと結局降る雨)

7月16日
小心者なので、雨がなるべくふらない早朝から活動開始。また十勝川温泉に向かうと、早朝に轢かれたっぽいジムグリが落ちてた。初ジムグリ。

※ここから2点、死骸の写真です。

新鮮ではあったので、将来研究する人のために尾の先をサンプルでもらって、2次災害(この死骸を食べに来た動物がまた轢かれる)があまり起こらないように、道路から離れたところに死骸を移動しました。

昨日と同じ場所(素晴らしいコンクリ)に行くと昨日取り残したと思われるシマヘビの抜け殻をゲット。

そして

この穴の中に

シマヘビの無線型発見。ライト当てると結構みどりっぽく撮れちゃうんだよね。

赤の矢印のように、シマヘビの無線型は鱗の下の皮膚に黒い部分がある事が多い。これでも客観的にシマヘビと示すには弱いかなあ…としばらく考えてたら、顔を出してくれました。

鮮やかな赤い目。シマヘビでいいっすね。

さて、確認できたところで、一気に夕張に向います。高速でずんずん進んでいくと案の定、黒い雲が広がってきました…。

夕張に着く頃には土砂降り。もう急いでも仕方ないので、家のお土産を買う。夕張メロンは無理。捨て値のやつでも2000円くらい。結局、炭を使ったたんどらにした。

雨が強かったけど最初から目的地に考えていた「シューパロ湖」に一応行ってみた。

途中のコンクリで爬虫類探すも、

ヒメマイマイくらいしか目につかず。仕方ないね。雨だもんね。フィールドすれば降るもんね。仕方ないよね(怒)

とりあえず周囲を走ったんだけど、雨は激しくなるばかりなのと、

なんか道路が川の底に沈んでる…。

だんだん怖くなったので撤収しました。天気良ければ、由仁や長沼でカエルの調査しても良かったんだけどこれまた豪雨になってしまったので、早く家に帰りました。ざんねん。

7月16日 ハープソン シューパロ湖周辺
644240  シュウパロ湖エリア
644241  白金エリア
確認種 なし

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わりと動いてたかも6月前半

わりと動いてた6月前半行きます。

6.3
倶知安の「冒険家族」で、子供たちに両爬のお話しと、フィールドで両爬探しをしてきました。倶知安についたときは、シトシトの雨。いつもながら、イベントのときはお天気悪いです…。

子供たちにプロジェクターで説明すると、次々質問が来る。こういう積極的な反応もいいね!基本的なことを勉強して、森の方へ。

この頃には薄日が差して、だいぶ天気が回復してきました。昨年上陸の若ガエルは結構たくさん出てくれました。

エゾアカガエル見れてホッとしました。野外観察終わったところで、こんな感じ。

エゾアカガエル多数とニホンアマガエル2匹かな。大きいのは見れなかったけど、エゾアカは幼生も見れたね。残念ながら、爬虫類は見れなかったんだけど、イベント前に、捕まえてくれていたシマヘビをみんなで観察。

このあと、リリースしました。シマヘビ君たち、ありがとね。

そして倶知安から移動していきます。

休憩で止まった豊浦町の田んぼ。アマガエルでも鳴いていればいいけど…。鳴いているんだけど…風すごいし、たまにしか鳴かない。

ツイートの音声ファイル聞いても、ほとんど風の音しかしないんだけど、ゴォーって音の陰で、「グワッ」と一声、聞こえる、はずだ…。

心の耳で聞いてくれ。

まあ、そんなことで、カエルの本体を見れなかったけどこんなのはあったよ。

自転車の跡!!じゃなくてアライグマの足跡。

あとサナエタイプのトンボ。

写真撮っておけばなんとかなるだろ、と思って、撮っておいてあとで同定。寸胴な印象。

日本のトンボでパラパラ見てたらモイワサナエだった。ほんと、デジカメのお陰で、いろんなものの名前が調べられるようになった。(調べ物の時間が増えたとも言う)

そして登別に入って一泊でした。

6.4
登別の「ふぉれすと鉱山」でKoNG養成講座の1コマを担当してきました。

この施設の周辺には、両生類や爬虫類は豊富なので、講座は野外観察も行います。しかし、土砂降りに近い雨。爬虫類絶望です…。

本当に、イベントのとき、晴れてくれません…。私の行いが悪いというより、天気の神様からのいじめ?そろそろ、天気の神様にでもお参りに行ったほうがいいかも。

さて、雨天でも強い味方の両生類の幼生。やっぱり安定して見つかってくれます。

年によっては水の流れなどでポイントが変わってしまいますが、今年もエゾサンショウウオの幼生と、

エゾアカガエルの幼生が見れました。(背景が赤いのは入れ物のせい)もっと暑くなるとニホンアマガエルの幼生も見れますね。

外来種のいない地域でのフィールドは、変なドキドキ感はないですが、いるべきところに、見られる種類がいますね。それはとても恵まれている状態なのだと思います。

6.6
自宅の庭で、小型のカメノコテントウを拾う。

いつも思うが、ちょっとトドックのクマに似ている。ほら、もう次見たら、クマの顔にしか見えなかろう。

このテントウムシは背面の外見じゃほとんど見分けられない2種がいる。コカメノコテントウ(足の腿節が黒い)とヒメカメノコテントウ(足の腿節は黒くない)だ。せいぜい3~4mmの昆虫なので、裏返して確認も毎回していないけど、たまには、ってことで写真撮りました。

うん、ヒメカメノコテントウみたいだね。(後ろ脚のモモを見よ)そう言えば、コカメノコテントウをちゃんと見たこと、ないなー。やっぱ山地かな?

……別の話だけど、いま調べてて、カメノコテントウだと思って見ていた種類の幾つかがナガカメノコテントウという種類だったみたい。ナガカメノコテントウなんて、存在も知らなかったよ…

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嘆きの道北2

天塩の海岸でトカゲとキャッキャウフフする予定だったのだが。あいにくの雨。浜の周りは工事。姿なし…。こんどまたリトライかなあ。

6月24日 稚内市抜海村 メッシュコード674174(抜海)

だいぶ北まで来た。ここまで来ると、どのトカゲがどう分布してるのか
よくわかんない。晴れてて欲しかったよー。

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6月24日 稚内市西浜 メッシュコード684105(稚内)

良さ気な崖斜面と池(沼?)。斜面の上を見ると…。

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ササ帯とシカ。これは…。そう、ダニだらけの環境だー。

登ればどんどん

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ダニーものぼってくるよ!脇の下あたりで、ボクと握手!…ってんなことさせんがな!

見つけ次第デコピンでふっとばす。あとでお風呂で確認したけど、今回は刺されなかった。よかった。30くらいくっついてたから…。

苦労して登ると、あんまり見たことない花。

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フウロとかの仲間だと思いますが、それ以上はなんとも…。

取り敢えず、近くの沼に向かってみると。

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タイヤのゴムだ。まぎらわしい!

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ん?シマヘビ(黒化型)だった…。

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しっぽフリフリしてお怒り中。

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オス、だろうな…。

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シマヘビ写真のキメ角度。

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背面の背骨よりの体鱗の何列かにはキールが見えます。ちなみにシマヘビの頭はどっち側にあるでしょう?

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正解は右側でした。鱗にもちゃんと方向がありますよ。しかし13℃強風でよく出てきてくれたな~。89.5cm、♂でした。

6月24日 稚内市声問 メッシュコード684106(声問)

ここまで来たのなら、会っておきたいコモチカナヘビ。見に来た場所には、生息しているのは知っている。しかしやっぱり今回はダメだ。いない…。

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落下して、ペチョって感じになっている鳥の糞に混じって、

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コモチカナヘビくらいの爬虫類がする糞はある。ここではコモチカナヘビ以外のトカゲは見たこと無い。けど、確定証拠には厳しいか!

チクショー

怒りと低温と強風に全身をうち震わせながら北の聖地を去らねばならないこの寂しさ。また来なければね。

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嘆きの道北

6月後半に、天気予報で「稚内が晴れ時々曇り」という予報を見て、イベントや授業のないフリーな時間があったので、道北と海沿いのトカゲを探しに行ってみました。

6月23日 小樽市銭函 メッシュコード644151(銭函)

2時間ほど、海岸のカシワ林内や砂浜を歩くけど、トカゲは見当たらず。途中で出会ったアメンボを見ていたおじさんに話を聞くと、林内より砂浜手前の砂丘上でトカゲ見ることが多いとのこと。この日は曇っていたのと、海岸なので風があってちょっと寒かったのも敗因かもしれないね。

日本海沿いに北上していきます。

6月23日 増毛町雄冬 メッシュコード654142(雄冬)

だいぶ日が傾いて、爬虫類打ち止め感が強くなってきたけど、雄冬の展望台周辺でマムシの情報もよく聞くので、一応確認しに来ました。

G31A8384

おお、これはいるんだなあ。イラストのマムシ、カクカクしてるけど、5円玉っぽい斑紋もあるね。

歩いてると、寝場所へ帰るところだったのか、

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いたいた。

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立派なアオダイショウだった!♀。129cm。15:10、19℃、曇。行動中でした。

♀ってわかるのはこのあたり。

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しっぽのあたりで細くなります。しっぽはお尻の穴(総排出口)より後ろ側。写真のちょうどまん真ん中あたり。

マムシ探しながら展望台上がっていくと、お、なんかいる。

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はるか下の方の岩の上…。望遠レンズで撮影すると

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ニホンカナヘビですな!北海道のニホンカナヘビは若干、ずん胴なんだけど(言い換えると、尾長率が小さい)このニホンカナヘビは尾長が頭胴長の3.3倍くらいあるね。これはとてもスマートだ…。

展望台でいよいよ太陽も大きく傾き、このカナヘビで最後かな?という感じになってきた。また海岸線を北上する。

6月23日 小平町望洋台 メッシュコード664105(小平)

以前来た時もこの小平で日没だったような気がする。日が沈むのを見ながら、コンクリート壁を探る。

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これはグレートなコンクリート!

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ん?

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日没間際なのにニホンカナヘビいた!自分の確認では最北だ~。(もっと北で文献上はおります)

そしてこういうグレートなコンクリートには素敵な塩ビ管があり、

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中には

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ヘビが詰まっているのです。若干苦労したけど、ヘビを発掘して確認。

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122cm、オスのアオダイショウでした。スネークフックが、お粗末だったので、発掘に時間がかかってしまった。

そして完全な日没。夜行性の爬虫類は移動しながら見つけるのはしんどいので、移動に専念することとする。ということで、再び北上。

…なんだ?雨降ってきて…土砂降りに!?天気予報にそんな予報なかったぞ!と、ここで予報再確認。なんか稚内、低温の雨模様になりましたが…。爬虫類にはこの先会えるのだろうか…。

6月23日 羽幌町朝日 メッシュコード664145(羽幌)

あ、思い出した。飛び地分布してるツチガエルが羽幌にはいるんだった。とりあえず、確認しといてって頼まれたのもあったので、羽幌で少し徘徊。カエルなら、却って雨は好都合。

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アマガエルは湧くほどいました。レンズ曇ってる…。

そして

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大きめのツチガエルみつけた。

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カエルは後ろ脚を伸ばした形で、もっているとほとんど動けない。取り敢えず保定するにはこの持ち方は良いね。

あと、この時期には期待していなかったけど、おまけで

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エゾアカガエルも出てきてくれてた。

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繁殖期以外では、久し振りだね。

このあと、キタキツネの子狐が轢かれて死んでいたよ。可愛い盛りだけど、性格的に危機意識なくて飛び出しやすいし、交通量の少ない道路は猛スピードの車もいるから、どうしてもこういうの、なくならないね。

写真は直接貼らないけど、見る人はここで。こういうの見ると、色んな虚しさを感じるなー。でも、北上を再開します。

6月23日 初山別村字栄 メッシュコード664156(天塩有明)

ここからはニホンアマガエル祭り雨の路上でニホンアマガエルを見つけるたびにチェック。ハープソンの1メッシュは10km四方なので、10kmちょい進んではチェック。でも大体残念な死体なのよね。

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6月23日 初山別村豊岬 メッシュコード664166(初山別)

ここではちゃんとご存命のニホンアマガエル。都市部より、探しやすい気がする…。

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うめつくされるほど出てくるわけではないけど数百メートルに1匹ずつくらい出てくる。

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雨の日なら、アマガエル調査が捗るね。

6月23日 遠別町金浦 メッシュコード674106(遠別)

金浦原生花園の前でまたアマガエル。

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ちょっと大きい個体だったので、嬉しくなって手と比較写真。

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ここの原生花園前はこうこうと街灯がついててすごい明るい。明るいからか、なんかわかんないけど夜中にもかかわらずいろんな鳥がさえずってた。寝不足にならない…?

…ということで、天塩の道の駅までやってきた。明日は天塩の浜でトカゲ探そうと思って、眠りにつこうとしたが、ここで明日の天気をチェック。

雨、霧。午後少し曇。気温15℃。という予報。これは厳しいなー…。

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雨のトカゲ探し

北海道でトカゲの調査をお手伝いすることになり、本州からトカゲのお客様がいらっしゃったので、少し探してきました。ハープソンでは「北海道トカゲ調査隊」としての記録しておこうと思います。

が!天気はあいにくの雨。トカゲ出現コンディションはよろしくない…。

6月9日 登別市千歳町 メッシュコード634150(鷲別岳)

とにかく、登別温泉を基本にトカゲをさがしてみることになりました。晴れてれば、岩場やブロックの上で日向ぼっこしてるのが見れそうだけど、雨の時は、岩やブロックの隙間や、石の下などを探します。雨の時の発見率はとても低いですねえ…。

コンクリ壁を見つけるたびに車を止めてみたりしたけど、いい結果は出ず。だいぶあきらめが強くなってきたけど、市街地に出る前に、もうひと踏ん張り。トンネルわきのコンクリ壁。

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やっぱりトカゲはいない。仕方ないので環境状況写真。こういうところにはいる確率は低くないはず。

細かい隙間ものぞいてみると、ウロコと光沢感をはっけん!

RIMG5161

あー…。しかしこれはトカゲではなくヘビですな…。普段は喜ぶけど、今日は目的は君ではないのだよ。見つけた時、鱗と鱗の間に黒い部分が見えたので、皮膚の地色が黒い下の写真のような、ジムグリの成蛇!とおもったのですが…。

現場ではジムグリ一択だと思ったのですが、写真を見ていると少し腑に落ちない。拡大してみてみると、

RIMG5161_1

背中の何列かには、明らかなキールがあって、鱗も長め、黒の縁取りも鱗の数列に限定されているので、こういうタイプのシマヘビだね。

ヘビは部分的にしか見えないときは、やっぱり難しいね。

コンクリ壁の亀裂の隙間にいたので、出すこともできず、逃げられたので、あの隙間写真だけしか撮れなかったよ。

6月9日 室蘭市母恋南町 メッシュコード634130(室蘭(東))

いろいろ見て回ったけど、雨もあがらず、爬虫類もあのあと見れてない。気分替えに、地球岬で水場を救ってみたら、よく育ったエゾアカガエルの幼生がいっぱい!

RIMG5162

上の写真にも混ざってるけど、いくつかエゾサンショウウオも幼生が混ざってるね。

RIMG5165

エゾアカガエル幼生をたくさん食べているからか、プリプリしてる。気分替えに両生類に浮気するも、やはり爬虫類は見つからないのであった…。

このあと、天気が変わることを狙って、思い切って石狩市へ(太平洋→日本海への大移動)。石狩のトカゲのいそうなところも転々としたけれど、結局この日は、あの隙間ヘビ以外は爬虫類はいませんでした…。第一次トカゲ調査隊は、天気にコールド負け。(寒いだけに)

6月10日 札幌市南区滝野 メッシュコード644123(島松山)

翌日には、夏の爬虫類観察イベントの打ち合わせで滝野すずらん丘陵公園へ。トカゲ調査隊は、昨日で解散してしまったので、今日ははハープソンのチーム「ばいかだ」で記録。

打ち合わせを終えて、環境の下見に行くと、

stuvwxyz (3)

フキの上にニホンカナヘビ発見。やっぱり晴れてるといるんだよなー…。しかし、フキの上にいるって、頑張って登ったんだな…。

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その後、路上にも出現してるのが見れた。尾が、過去に骨折(もしくは自切未遂?)したのか、かくんって曲がってるね。春にはエゾサンショウウオやエゾアカガエルが産卵する水場付近に行くと、日なた部分では、もう上陸してしまったのか、その辺の幼生はいなかったけど日陰には若干残ってた。(写真撮り忘れた…)

その代わり、いいもの見つけた。

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二ホンアマガエルの卵塊。卵数が少ないのが特徴で、アマガエルはふ化が非常に速いので、見れるとかなりラッキーな卵。

エゾアカ(冷水好き)もエゾサン(冷水好き)もニホンアマ(温水好き)も繁殖する水場って、非常に微妙なバランスの上にあるところだと思うので、なかなか面白い水場ですね!

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帯化

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今回は5月25日に行ってきた出張後のフィールドの記録です。(※ハープソンの地図のメッシュ番号はこの地図で確認しています)

出張は道東でしたが、暑い日と寒い日にあたって、しかも安物のレインウェアで蒸れてクラクラになった。「ササやイバラでどうせ破けるし…」という考えで、レインウェアの価格ランクをおもいっきり下げるとただでさえ少ない体力を、ガリガリ削られる結果になった。何度か繰り返してしまっているこの問題、二度と繰り返さないようにしよう…。

出張の仕事の帰り道、少し生き物を見てきました。

1_1 (2)

わりと久しぶりに見た、オドリコソウ。庭で雑草取りでヒメオドリコソウはよく取ってるんだけど、ヒメの方は、なかなか強い雑草で、調べてみるとヨーロッパ原産の移入種みたいだね。

1_1 (6)

あとで食べた、ニリンソウ。この花のは取らなかったけど、これは緑色の花してる通称ミドリニリンソウ。原因は変異だとか、病変だとか、諸説あるみたい。

一番インパクト強かったのはこれ。

1_1 (3)

2つのセイヨウタンポポの花がくっついてる。こういうの、専門の言葉があって「帯化」というみたい。「帯化」は最近だとこんなニュースもあったね。
ベーコンが巻けないじゃないか・・・北海道で巨大アスパラガスがドーンと生えてきた

1_1 (4)

茎も2本分の太さだ。あとで考えたら、折って中の空間がどうなってるのか見てみればよかった~。1_1 (5)

花は不気味なんだけどね。

1_1 (7)

エゾハルゼミも良く鳴く季節になりました。アルビノのエゾハルゼミだよ。…と言うのはウソで、羽化したてです。

ではハープソンの方、行っときましょう。

5月25日 北見市本沢 メッシュコード654365(花園)

北見市に住んでいた頃、よく観察に行っていた山に入ってきました。

RIMG5094

まだ雪が残ってましたね。さすが道東。夏タイヤで走るのは問題なかったけど、道を雪が覆ってたら山に入れなかったかも。

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この山のエゾサンショウウオの卵嚢は綺麗なのでとても良い。環境が良いのね。もう、7~8年は見てなかったから、ちょっと場所が壊れてないかとか、乾燥してないかとか心配だったけど、大丈夫そう。でも少し浅くなったのと、落ち葉が少ないからか、エゾアカガエルの幼生が全くいない。たぶん原因はこれ。

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エゾサンショウウオの越冬幼生。おそらく食い尽くして、エゾサンショウウオの新生幼生の出待ち中。前は水場がもう少し深くて落ち葉も多かったから、エゾアカガエルの幼生も隠れ場があって少し混獲できたんだけどね。

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6cm級の立派な越冬幼生でした。ここにはエゾアカガエルの幼生はいなかったけど、別の水たまり(同じエリア)で無事に、

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エゾアカガエルの幼生を確認できました。とりあえず抑えておく基本2種を確認して幸先良し。幼生の周りの白い点々はカメラの補助光ね。

5月25日 陸別町 メッシュコード654325(釧路川上)

この辺の林道を車で走っていたら、排水桝のなかに取り残された個体たちがいた。

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綺麗に赤い、エゾアカガエルの幼体。産卵に来て取り残されたというより、春に活動開始してから落っこちた感じかな。とりあえず救出。

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ぬ?!一瞬キタサンショウウオにも見え、

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一瞬ハコネサンショウウオっぽくも見えたものの、ガリガリにやせたエゾサンショウウオでした。繁殖にやってきたものの、排水桝から出れなかったのね…。とりあえず、救出。頑張って生きて下さいな。

5月25日 北見市上仁頃 メッシュコード654366(上仁頃)

田んぼが見えたので、上仁頃小学校あたりで停車。周りを歩いてみたけど、両爬なし。引き上げようとしたら、一声だけ、ニホンアマガエルが鳴く。10分位、スマホで録音しようと粘ったけど、その後鳴かず、徒労に終わってしまった。証拠がとれなかったので、参考記録。

5月25日 北見市常呂町字吉野 メッシュコード654377(日吉)

道路で突然、ニホンカナヘビが横切った!シルエットだったけど、尾が長い華奢なトカゲだったので間違いはないと思う。…けど、自分の作ったハープソンのルール。撮影や録音出来ていないものは参考記録。

ヒグマが横切った時はドライブレコーダーに写ってたけど、今回は早すぎと小さ過ぎで、きっちり写ってなかったよ…。仕方なく環境状況写真。

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この周り探したけど、カナヘビ見つからなかったな。ひとことで言うと、開けてて本州ならカナヘビいそうな環境でした。あとで、地点確認のため、、見つけた周囲を衛星写真見ていたら、なんか面白いものが写ってました。

名称未設定 2(google mapsを利用表示)

「ところ」って書いてあった!

5月25日 佐呂間町字仁倉 メッシュコード664307(浜佐呂間)

道路で「うにょんうにょん」してる物体を発見。ああ、ついにヘビか…。とおもいきや、道路に転がっているゴムひもだったりすることも多い。しかし、明らかにうにょんうにょんしてる。車停めてダッシュして捕獲!

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自分のハープソン2016初のヘビ、アオダイショウ。うすいろグリーンと言った感じの綺麗な色だね。道東だから、ハッカになぞらえてミントグリーン?144cmのかなりな立派な個体でした。気温21℃で、風もかなり強かったのですが、たまたま目の前を横切ってくれたので、拝むことが出来ました。

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リリース前の一枚。結構怒らせてしまった。久しぶりのアオダイショウの筋肉はしなやかで力強かった…。リリースしていると、100m位先で、うにょんうにょんしてる。しかも動きが早い。やばい。久しぶりの100mダッシュ。息も絶え絶えになって捕まえてみると、

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かなり薄い縞のシマヘビでした。ダッシュで吐きそうなので、ちょっと袋に入ってもらっていて、ひとやすみ。

回復してから個体を調べさせてもらいました。101cm。シマヘビにしては良いサイズ。ダッシュしなかったら、逃げられてただろうな…。ダッシュしてよかった。

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カメラのレンズが気に入らなかったのか、やたらとレンズを咬みついてきた。掴んだりいじったりすると、シマヘビはやっぱりアオダイショウより筋肉少なくて非力だな。

5月25日 佐呂間町字幌岩 メッシュコード664317(サロマ湖東部)

思い切ってサロマ湖畔までやって来ました。キムアネップ岬という所周辺ですが、汽水湖のサロマ湖と道路挟んだとこにある水たまりで、昔エゾサンショウウオを見たことがあったので、やって来ました。

過去の場所で確認すると、水たまりはヘドロ臭がして卵嚢もない…。あー、ダメかなーっと思ったけど、よく目を凝らしたら、

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あ!これはもしかして…。デシカメの光学倍率を目一杯伸ばしたら、証拠写真程度には撮れた。

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エゾサンショウウオの幼生ね。まあでも、これじゃ消化不良なので、
すぐ近くにあった湿地を探してみたら

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ちゃんと証拠写真残せました。エゾアカガエル幼生と、エゾサンショウウオ幼生。しかしこのエゾアカガエル幼生、瞳孔が開ききってるな・・・?取るときにダメージ与えたつもりはないんだけど、なにか障碍を持っているのかな…。

5月25日 佐呂間町字富武士 メッシュコード664306(佐呂間)

行こうと思っていたポイントをほぼすべて回ることが出来たので、札幌に戻り始めた矢先に、道路にアオダイショウの死骸が落ちてました。

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轢かれて死んでた。146cmの、こちらも大型の立派な個体。今回はこれが最後の両爬でした。帰宅途中で急いで回ったわりには、記録も色々取れて良かったかな。(しかしヘトヘトである)

また、機会があったら、道東を回ってきたいなー

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2013年4月の福島

アップして良いみたいだったんだけど、なかなかどうやってまとめたものか…。

ということで、ずっとまとめられなかった4月後半の福島での生物に関する調査について軽くアップです。

福島県は2011年の地震・津波・原発事故など、とても酷い災害が起こり、被災地に関してはもちろんのこと、環境面でも気になることが続いたところでした。今回(2013年4月)、人のつながりのお陰で、福島県内での生物(両生類・甲殻類+魚類少し)の調査機会を得たので、行ってみることにしました。目に見える生物への様々な影響も気になるところです。

仙台空港に降り立つと、とても綺麗で活気もあり、津波が押し寄せた場所だとは思えないほどでした。2年経てば、狭い範囲なら復興するものなんだなと思いましたが、レンタカーを借り、福島県相馬市に向かうに連れて、その考えは改められていきました。

ひっきりなしに土砂や瓦礫を運ぶダンプが行き交い、海岸線の道路の周りはほぼすべて更地。瓦礫こそだいぶなくなっていたが、生き物の匂いのしない、いわゆる荒地が広がるばかりだった。中には、所有者がいなくなってしまったのか、取り壊す金銭的な問題なのか、取り壊されていない家がポツン、ポツンとあり、そのなんとか建っている建築物は地震や津波の影響で大破していた。

地震と津波か?

0423minamisoma_fukei (9)
1F部分が津波に流されている

0423minamisoma_fukei (4)内側のものは洗いざらいなくなってしまったのだろうか?

周りの更地には、およそ生物のいるような雰囲気はなかったが、塩害に強い植物なのか、草本がポツポツ生えていた。回復への第一歩と思いたい。


今回、宿としたのは相馬市の松川浦にある「いさみや」さん。目の前が松川浦で、例外なくこの建物も津波に襲われていた。目の前の電柱は激しく傾いていた。

いさみやさんでは、津波を忘れないために、写真や津波の押し寄せた高さを示すラインが残してあった。

今回の調査のメインの目的はサンプル採りでした。生き物たちにはかわいそうだが、一定量を冷蔵して研究機関に送り、それらの生物が蓄積している放射線量(Bq)を計測するためだ。

私とHHS副会長のT氏が入った地域では、すでに過去にサンプル採りが行われていて、過去の採集データと照らして対比できる生物、その他の生物を採るのが主な仕事だ。地の利がない2人での仕事だったが、過去の調査地があるので、そこを中心に調査した。また前回調査よりも両爬においてはより種分類を細かくして送ることにした。

生物に蓄積される放射線物質は食物連鎖に起因するものが多いと思われ、同じ「カエル」でも吸盤を持つニホンアマガエルやシュレーゲルアオガエルは垂直な場所も登ることができるため、羽で飛び回る昆虫も食べることができる。羽のある昆虫は幼虫期の生活場も多様(水中・土中・樹上など)。対してアズマヒキガエルやツチガエルのように、アリなどを中心として地上徘徊性の昆虫を食べるものなど餌の住処によって体に取り込まれる放射線物質の物質量も違うはずだと思ったので、細かく分類しました。

結果はおそらく、本年中に公表されると思います(2022年公開終了した模様です)もし、結果に様々な差が出るようなら、興味深いことです。

河川を中心に調査して得られた生物は多岐にわたり、ソート(整理)や識別がかなり大変で寝不足になる日もあったけれど、なかなか充実した作業でした。(不謹慎でしたら申し訳ないです)

調査は4月下旬だったので、ヤマアカガエルやアズマヒキガエルのようなものは産卵も見られたが、見つけたものに関しては、見た目で目立つほど異常を起こしているものは見られなかった。成体も特には異常状態のものは目につきませんでした。

ヤマアカガエルの卵内の胚も育ってる(死んでるのもいるけど)

こちらもヤマアカガエル


ちょうどいい時期だったみたいだね

おそらく繁殖でエネルギーを使い果たした痩せたオスも見つけました。

ガリガリですね

こういうオスは、他の地域でも繁殖期直後では見られるものなので、ご心配なく。

アズマヒキガエル卵紐(らんちゅう)

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アズマヒキガエルの親御さんも池にいた。道路脇で写真撮ってたら、後ろ足で穴掘ってどんどん埋まっていきます。ヒキガエルはじつは後ろ足が穴掘りに適しています。

放射線の影響で、卵・精細胞が影響を受けるものもあるかなと心配していたが、見たものでは大丈夫そうで少し安心しました。

しかし、調査地によっては空間線量(μSV)は決して低くない場所もありました。(除染の目安の値は超えていました)丸一年その場所に座り込んでいる場合には基準値の1mSV/年は、余裕で超えてしまいますが、なるべく効率よく調査をして早めにあがるよう心がけました。

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ほとんどの場所はこういう低い値だけど、線量が高いとされる地域ではやはりしっかり値は高かった。

強く印象に残ったのは、ところどころの道路封鎖。


原発に近づくに連れて南相馬市-双葉町間や飯舘村内で、災害対策基本法による道路封鎖がされていた。


封鎖の先にも、普通に住めそうな家が並んでいるのに・・・。目に見えない影響は、とても異様な気持ちにさせられました。

本州の本格的なフィールドは久しぶりで、改めて勉強になることがたくさんありました。また勉強と反省を活かして次の調査に臨めればと思います。また、9月に調査に行く予定ですが、また緑が増え、生物が増え、行けるところも増えていくことに期待しておきたいところです。

以下、福島県内での生物写真と短いコメント。

モクズガニ。川に産するカニとしてはとても大きくなる。

ギギギバチ。ナマズ系は見てて和む。普段、川の中を観察することがないから、ギバチに会うのも初めて。大変可愛らしい。自分の好みは純ナマズ系列のようだ。

キジ。大変多くの個体を目にした。放棄された畑が多い、人が少ないなどの震災の影響だろうか。

ツチガエル。北海道では移入種とされるが、東北では在来。地方によって性染色体の性決定機構が違う集団があり、よく言われるXX(♀)-XY(♂)型と、ZW(♀)-ZZ(♂)型があり、しかもそれらが複雑にからみ合って、…と、いうものを読んだことがある。が、遺伝関係はメンデルの基本以上がわからない自分には、まだ理解できない。

コオニヤンマ。トンボ類は、基本的にはヤゴでも識別できる。が、基本情報が頭に入っていないと、どこを見れば識別のポイントになるのかがわからなくなるので、これは場数を踏んだほうが良い。ちなみに、平べったくて腹のでかいこのコオニヤンマのヤゴはかなり異形なので、識別しやすい。

コヤマトンボ。一見、クモのように見える脚の長さのコヤマトンボ。これもかなり特徴的。

スジエビ。いわゆる淡水の透明系のエビ(よくモエビとかカワエビと言われる)のひとつ。やや大型化するのと、脚の長さ(テナガエビ科)、目の位置(でも微妙)で後者のヌマエビ系とは見分けられる。

ヌマエビ。淡水の透明系のエビ(よくモエビとかカワエビと言われる)のひとつ。最初はスジエビとの識別に骨が折れた(色が個体差が大きい)が、慣れてきたら、脚とかチェックしなくてもわかるようになってきた。言葉には出来ないんだけど、触ったりしているうちに、脳がフォルムの違いを覚えたようだ。

スナヤツメ。何度見ても、異形で面白い。まだヤツメウナギ食べたことない。カワヤツメなら食べれるお店ありそう。(スーパーでは売ってなかったよな…?)

アメリカザリガニ。調査でちょっと苦労。淀んでやや「汚な目」の場所を好むのでそういう場所以外では見つけられなかった。

ニホンアマガエル。4月下旬とはいえ、桜の最盛期だったので、寒くて見つけられるか不安でしたが、何個体かは雨の日に路上に出ていました。もちろんまだ全く鳴いていませんでした。

シュレーゲルアオガエル。北海道にはいない、アオガエルの1つ。これも正直、見つけにくいカエル(たくさん鳴いてるのに)。雨の時に道路にいたのを捕獲。そしてやっぱり体重は軽い。

サケ科のほっちゃれ。意外と数があった。遡上数が多いのかもしれないね。

死骸が草に咬みつくわけはないので、誰かがくわえさせて遊んだのかなと思ったけど、

2本の植物による共同作業(頭起こす草と、口を支える草)の合作だったようだ。大したもんだよね。

ウシガエル。4月下旬でも、これはオタマジャクシで越冬するので、簡単に見つかるとおもいきや、これも苦労した種類になった。4月下旬はまだ活動期ではないみたいで、水中の泥の底の結構深いところからだけ採れた。生きたまま持ち運ぶのは、いまや外来生物法にて禁じられているので捕獲場所で冷やして落として、サンプリングでした。

ニホンイモリ。これも北海道に住んでいないので懐かしい両生類のひとつ。

一見、可愛くないし、毒もあるので敬遠しがちだけど、時間をかけて観察してみるとなかなか表情があって、深い生き物。(今は可愛く見えるようになりました)

シマヘビ。爬虫類はサンプリング対象外でした。これは側溝に落ちて登れなくなって出たそうにしてますね。

出してみたけど、不機嫌な顔つきです。そういう顔ですから…。

シマヘビの幼蛇もいました。ちょっと意外だったのですが、枯れたヨシに登っていました。何をしていたんでしょうね…。シマヘビの幼蛇は、あんまり目につくところにいないんですが、意外と立体的に動いていて目につかないのかな。

…とまあ、いろいろな生き物に会いました。一部の生き物には可哀想だけど、放射線量の測定のためのサンプルになりました。

生物を殺してしまうのは決していいことだとは思わないのですが、様々な災害に遭った生き物たちの影響をしっかり調べ、(あってほしくはないですが)万一、今後に災害が起きた時に、人間も含めた、生物環境へどう取り組んでいけばいいのか、を考えるための、資料になってほしいと思います。

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