へんじがない しかしいきていたようだ

ごぶさたでした。気がついたら、今年も両生類や爬虫類が活動する季節になってました。去年の春から、書くペースが落ちて、どんどんさかのぼり記事に。いつも書こうとは思っていて書く記事を「下書き」して置いておくのだけど手付かずのまま、公開されずの繰り返しでした。いつかはちゃんと書いて公開しとこうとは思うけどまだしばらく書けないなー。

今年のシーズンに入って、下書きもしていないので生物ごとに忘備録的に書いておこうと思っての更新です。

★エゾサンショウウオ
今年の自分の初認は4/20、札幌市。すでに産卵はあちこちで始まっていたのだけど、自分の出足の鈍さで遅くなった。4/20が今シーズンほぼ初のフィールドでした。その後、恵庭・江別で産卵確認。5/10時点でまだ、産卵したての場所が札幌市内にある。札幌市でかすぎ、気候も多様すぎ。ちゃんと調べていなかった定山渓の山の中で5/10にようやく越冬幼生を確認。ここではまだ産卵が始まっていない。

2014-05-10 00.22.29

まだ雪が一部とけただけの定山渓山中。日陰では1m超えの積雪も残ってる一方で、トラツグミはすっかりさえずっている。

2014-05-10 00.24.23

かなり立派な越冬幼生。ここのは見つけにくい、捕まえにくいで大変だった。水温4度、気温4度。さむい…。

★エゾアカガエル
自分初認4/20、札幌市。5/10定山渓の山の中腹で盛大に産卵してるのを確認。そこより高いところではまだ始まっていない。この間で、恵庭・江別で産卵と孵化を確認。

★ニホンアマガエル
自分初認5/6、札幌市。冬眠明けの幼体。5/9江別市で、合唱確認。

★ツチガエル(外)
自分初認5/6、札幌市。成体。これから産卵の模様。

★アズマヒキガエル(外)
自分初認4/29、江別市。この日はオスの鳴き声少数のみ。5/7には江別市で産卵あり・成体30との情報をもらう。5/9、江別市で成体目視70+、卵紐数個体分。ピークはこれからの様子。

★トノサマガエル(外)
自分初認5/9、江別市。鳴き声多数。5/9は専門学校の実習で恵庭でトノサマガエルを探したが悪天候で姿、鳴き声確認できず。実習終わってヒキガエルの調査してる時に声が聞かれた。産卵はまだ。

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筑波箱根と北奥州

前の記事の流れで、微妙に英語脳になっていたので、ついでにツクバハコネサンショウウオの論文を読んでみた。

YOSHIKAWA, N., MATSUI, M. 2013.
A new salamander of the genus Onychodactylus from Tsukuba Mountains, eastern Honshu, Japan (Amphibia, Caudata, Hynobiidae)
Current Herpetol. 32(1) 2013. Herpetological Society of Japan, Kyoto.

以前Twitterでつぶやいた時は、本当にひどい読み飛ばしっぷりだったので、中身もかなりの読み飛ばしてしまい、すごいアバウトな把握でした。今回は(完全には読めてないけど)ある程度は把握出来ました。

筑波山の周辺地域に住んでいるハコネサンショウウオOnychodactylus japonicus)個体群が新種のツクバハコネサンショウウオ(O.tsukubaensis)になったんですね。

今日読んでて、前回の読み飛ばしっぷりのひどさに苦笑いでしたが、東北北部のハコネサンショウウオは2012年に新種になってたのをこの論文で知りました。キタオウシュウサンショウウオ(O.nipponoborealis)。

Poyarkov, Che, Min, Kuro-o, Yan, Li, Iizuka & Vieites, 2012 : Review of the systematics, morphology and distribution of Asian Clawed Salamanders, genus Onychodactylus (Amphibia, Caudata: Hynobiidae), with the description of four new species. Zootaxa, n. 3465, p. 1–106.

最近までの自分の中のハコネサンショウウオ属はハコネサンショウウオと大陸のハコネサンショウウオモドキ(O.fischeri)しかいなかったので、キタオウシュウサンショウウオという名前を頭の中で「北欧州」サンショウウオと変換してしまい、「あー、ヨーロッパの、分類細かくなったんだー。でもなんでニッポンとか学名に入ってんの?」と、おかしな捉え方してました。そうではなくて、キタオウシュウは「北奥州」だったんですね…。

ツクバハコネの論文によると、他にも隠蔽種がいて、南東北個体群、近畿個体群、四国個体群はまた、改まりそうな記述です。で、識別がしんどそうかなと思ったんですが、成体が捕まえられれば、いくつかの違いの中に「頭胴長:尾長」の差がありそうなので、定規でなんとかなるのかもしれません。(雌雄差もあるので、オスはオス、メスはメスで比較)

簡単に書くと、尾の長い割合順に
キタオウシュウサンショウウオ>ハコネサンショウウオ>ツクバハコネサンショウウオ
ですね。

キタオウシュウサンショウウオはZootaxaで発表されていたのですが、気がついてませんでした。たまに覗いてみよう。

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初両爬はオオサンショウウオから

年末年始に、皮膚炎、交通事故、インフルエンザと忙しい毎日を過ごしておりましたが、その間にもしっかりと活動しておりましたよ。皆さま、本年もよろしくお願い致します。

年末年始動けず、年賀状も出せない状態で、しかもプリンター不調で赤っぽい年賀状が届くかも知れませんが嫌がらせではありません…。

さて、年末年始は関東で久々にオナガに騒がれながら過ごし、年明けには広島に行って来ました。

広島の安佐動物公園で巳年の企画展としてヘビの写真展を開催してくれました!これは是非顔を出さねばならない!

会場でしばらく、来場者の方々とお話する傍ら、安佐動物公園ならではの施設を見学させて頂きました。その名も「オオサンショウウオ野外保護増殖施設」!日本で唯一、オオサンショウウオの繁殖を継続的に成功している施設です。

とても考えられている良い設備でした。

これは2012年に施設で孵化したオオサンショウウオの幼生。美味しそうです(食べちゃダメです)。

こちらは施設生まれ、施設育ちの個体。ちょっとメタボリック気味に育ってしまっているそうです。

年々、問題化してきている、チュウゴクオオサンショウウオです。広島では、まだ確認されていないそうですが、京都では昨年、衝撃的な調査結果が公表されていましたね。帰化定着と、日本産オオサンショウウオとのハイブリッド化が進み、日本産オオサンショウウオのオリジナリティが危険な状態になっています。

他にも爬虫類館を見せていただいたり、安佐動物公園の皆さまには大変お世話になりました。(写真はビルマニシキヘビの頭蓋骨と)

で、実は、広島に行くということで、中国地方近隣から数名が集まって、飲み会でもしようとなっていたのですが、私が下戸なので、食事会に。しかし、さらに会場でのノリで、夜間フィールドに変更されました…。個人的にはとても嬉しい変更です。

オオサンショウウオの調査関係の設備で「人工巣穴」というものがあり、そこを覗いて今年の初両爬となったのがオオサンショウウオ!

人工巣穴は渓流の横にトンネルがあり、そのトンネルの前に産室があります。そこには基本的に「ヌシ」が1個体入っています。これはオス個体で、年末年始のこの時期は生まれたばかりの幼生を守っているのだそうです。よく見ると上の写真にも上の方に幼生が写っていますね。実際の繁殖時にはこの巣穴に5個体ほどのオスが入ることもあるそうです。

目立たない目で、睨みをきかせて怒っているようです。この個体で80cmくらいあったのかな…。今年の初両爬が、思いがけずお手軽に見れて、嬉しかったのですが私はどちらかと言うとフィールドの方はマゾなので、河床をうろついている個体を探してみます。

しかし、さすがに1月初めはオオサンショウウオでも活動的とも言えない時期で、都合よく歩いているわけがないわけで…。思いがけず、今年の両爬第2号のツチガエルを発見し、(今思えば西日本産ツチガエル、もっとしっかり写真撮っとくんだった…)なかなかホットな気持ちで初フィールドできたのですよ。

そう、河床にこんなのもいたからね。

しかも、もう1個体。

ドライスーツと水中撮影可能装備が欲しかったー。

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個人総括(Herpthon 2012 Hokkaido)

Herpthon 2012 Hokkaidoに参加した皆さん、お疲れ様でした。

成績はどうだったでしょうか?

私の記録は、主催の最大限のパフォーマンスなので各賞にはエントリしないのですが、16エリアを調べて14種(+1亜種)でした。

ばいかだ結果申請票(PDF)

記入のしかたの1例として参考にしてみて下さい。

道北北部のコモチカナヘビ、釧路湿原のキタサンショウウオ、道南のウシガエル、どこにいるかわからんシロマダラ、あたりは最初から諦めていたのですが、伏兵クサガメが公園めぐりでは、確実にわかる個体が見つからなかったです。(移入種なのでウシとクサは見れないほうがいいのですが!)

今回は個人的に3つのテーマを持ってやってみていました。

①より多くの種類を記録すること
これは目標10種にしていたのですが、運良く、ヘビが4種確認できたのと、最終日に無茶して外来カエルを2種確認したので、目標を上回ることができました。

②自分の住まいの定山渓エリアでたくさん調べること
これも、結構健闘できたかも。(10種)地区の範囲をよく把握しておきました。この地区内で今までの記録があって見れなかったのはシロマダラだけ。シロマダラをもし見てたら、今頃生きていないかもしれません。

③外来カエルの分布地の把握
これは今までの情報と経験を使って、第1回のハープソンに華を添えとこうという形で頑張りました。出来上がるマップににボリュームがあったほうがいいでしょうし…。ツチガエル、アズマヒキガエルの新確認地を記録できました。これからもっと周知していかなくちゃいけないことなので、周知に役立つマップにしたいですね。

時間切れでアウト(1時間オーバー)だったのですが、トノサマガエルの新確認地も見つかりました。こちらはもったいないので、北海道爬虫両棲類研究会の会誌に、投稿しておこうと思います。

残念ながら、上記3種はまだ拡大を広げている、もしくは調べれば別の移入先も見つかるという感じがしました。

終えてみて思ったのですが、ただ1種のみを追い続けるハープソンも面白かったかもしれません。ニホンアマガエルを20エリアで出す!とかね。

まずは体を休めて、皆さんの記録の報告をお待ちしています!初年度なので、マップはまだまだ完成とは行かないと思いますが、少しでも見やすくて参考にできるものにしたいと思います。

エリアの範囲がわからない、とか写真は撮ったか、なんの種類かわからない、などの問い合わせは気楽に訊いて下さい。

連絡先はこちらです

また、提出して頂いた記録の中に確認、修正が必要な場合は上記連絡先の事務局からメールやお手紙が行く事がありますので、ご了知おき下さいね。

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滝野でサンショウウオの卵見てきました

今回のフィールド講演、たくさんの親子(おじいちゃん)連れで来て下さってありがとうございました。

天気が荒天の予報でしたが、
フィールド中に雨粒が落ちてくることもなく、
フィールドが終わると大雨になったようです。

外歩きの時に雨が降ってなくて、よかったよかった。

エゾサンショウウオの卵嚢の観察をする前に、
ちょっと「さわりかた」や、
エゾサンショウウオとエゾアカガエルについて、レクチャー。

そして森では、エゾアカガエルやエゾサンショウウオの卵などを
観察しました。

他に観察をしていた家族連れさんにも、
見つけた生き物を見せもらったりして
いろんな水の生き物を観察できました。

両生類:エゾサンショウウオ(卵嚢)、エゾアカガエル(卵、幼生、成体)、ツチガエル(幼生、成体)
魚類:ドジョウ(フク、エゾホトケ?)
昆虫:コオイムシ系、トンボ2種のヤゴ、マツモムシ、イトトンボのヤゴ
貝類:モノアラガイ類?、カワニナ?

一人くらいは田んぼにハマるのではと思っていたけど、
皆無事、生還しました(笑)

これから現れる
カエルとサンショウウオの幼生(オタマジャクシ)のレクチャーのあと、
解散となりました。

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New Year, 2012

Have a nice year, 2012.


(珍しく画像クリックで画像が拡大します)

2012年は、とてもいい年であることを願います.

年末から体調のすぐれない日が多く、
メール返信をはじめ、更新なども滞っております。

2012も出来ることからやっていきましょう。

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緑のどよんどよん(閲覧注意)

先日、H氏がニヤっとしながら、これを見せてくれた。
こ…これは!!ロイコクロリディウム!(いわゆるカタツムリの目に寄生する寄生虫)
動画なので、閲覧注意です。


Leucochloridium-ロイコクロリディウム- 緑のバージョン

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今回見せてもらったのは、道央産。しましまがグリーンの混じるやつですね。
自分が撮影した札幌産は茶色いしましまでした。


Leucochloridium-ロイコクロリディウム- (手ぶれ修正Version)

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個体変異か、別種か。宿主は同じオカモノアラガイだと思うけど…。
終宿主はどんな鳥かな?
日本ではどこで記録があるのかな?(一説には北海道と沖縄のみとも聞いたけれど…)

グロいものばっかりで申し訳ないんですが、
グロいモノが好きなんではなくて、単純に面白いんです。
興味をそそる生き物なんですね。私にとって。

しばらく、短めの記事を短期間でupするような更新形式を取ります。

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イイジマウミヘビが魚卵を食べる

友人のクレイジーバーダー氏からすっごく面白い動画を頂いたので代理でYoutubeにアップしました。


Ijima SeaSnake ate the fish eggs. イイジマウミヘビの捕食シーン

八重山でダイビング中にこの動画は撮影されました。

イイジマウミヘビは魚卵を専食する変わった食性です。
途中で威嚇に入る魚類はクラカオスズメダイ。
この魚が岩に産み付けた卵を­食べています。

普通のヘビの捕食シーンとは全くイメージの違う、
貴重なシーンだと思います。

イイジマウミヘビの学名はEmydocephalus ijimae
クラカオスズメダイの学名はAmblyglyphidodon curacao

クラカオは暗い顔とかそう言うのじゃなくて、学名由来のようです。

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立て続けの大事件(シロマダラ発見)

藻岩山のシロマダラの過去の目撃情報も収拾が付いていないんだけど、6/26にシロマダラが捕獲されたというニュースが飛び込んできた!

情報の整理をして、報道が一段落してからブログに書こうと思っていたら、自分も2個体目のシロマダラを捕獲してしまい、やや混乱してました。(2個体目については、私たちの発見状況の概要を書いておきたいと思います)

1個体目捕獲のニュースが出てから、この話を書きたかったので、少し遅らせました。とても良いニュースが続きましたね!

シロマダラは北海道では初めて確認が報じられたのは1989年。その報告者によって過去の資料等で数例が確認されました。2008年に、一般の方が携帯電話でシロマダラが撮影されたことがきっかけでシロマダラ生息調査研究会が発足。
それから情報を集め集めて、未報告を含めながらも2011年5月で7例の記録が出てきました。これだけ人が住んでいる北海道でたった「7」です。しかも、「生きて捕まって調べられた」ケースがまだ1度もなかったんです。

6/26と6/30、立て続けに2匹のシロマダラがそのテーブルについたという、大事件なわけです。

北海道新聞の7/8の朝刊(札幌圏)で1個体目のニュースが報じられています。

1個体目の北海道のシロマダラを捕獲したのは、庄子信行さん(北海道希少生物調査会(代表:寺島淳一さん))。北海道希少生物調査会は今年の調査対象をシロマダラに絞り、探索していたところ、夜間に石狩市で発見されました。(この調査は、北海道新聞野生生物基金の助成金を受けて実施されているとのことです)

地域の詳細については、周辺民家のことや、その他いろいろ配慮しなくてはいけないところもあるので控えられています。

62cmの立派なメスです!(私も同定確認をさせていただいたので、個体を見てきました)

今回の捕獲のとても意義が高いところは、今までの発見報告と異なり、捕獲されて生態を調べることができる状態にあることや、「シロマダラを探して見つけたこと」にも大きな意義があります。今までの偶発的な発見とまた別の話です。

とても素晴らしい発見です!しかし、正直なところ、「先をこされた!羨ましい~!」です(^^;

捕獲された個体は、円山動物園へ移送されました。北海道希少生物調査会は以下の通り理由を説明しています。

シロマダラは、”幻のヘビ”と言われてきた稀少種であり、本道における生息状況・生態は長らく不明でした。このことから今回の発見は学術的な価値が高いと判断され、個体を動物園に一時移送することとしました。移送先を動物園とした理由は、動物園が平成20年に結成された「シロマダラ生息調査研究会」に属しているため、情報及び個体の適正管理が可能な場所として妥当であると判断したことによります。

さて、6/26の大発見のニュースの余韻の中、自分の考えていた「シロマダラの居そうな所」の推測は正しかったのだろうか…とフィールドを確認することにしました。
一にも二にも、動くのは大切ですし、環境を複数の目で確認して、見たほうがいろんな事を考えられますし、動物園での飼育にも役立つ知見があるかなと思います。
北海道希少生物調査会がシロマダラを確認した環境付近を観察してきました。

フィールドはなかじー(中島宏章さん:写真家)と一緒に行ってきました。夜のフィールドは一人ではやっぱり怖いものです。こんな時に一緒にフィールドに出られる仲間たちはとても大切ですね!

6/30
日暮れはだいたい20時。2人で動き始めました。なかじーとのヘビを探すフィールドをすると、いつもヘビは1匹は見ます。
初めて会ったときにはマムシを遠軽に探しに行って、ちゃんと見つけたり、シロマダラ探しでシロマダラは見つからなかったけど定山渓山中で瓦礫の中からシマヘビを掘り出したことも…。

「北海道でシロマダラがこの近隣で、ここ数日内に生きて捕まった」という事実を直に感じながら、自分たちも、今まで以上に細かいところを探していきました。

ひととおり歩いて、ちょっと休憩に入る。やっぱり、ゆるくないよね~。何年も探してるんだもんね~。微妙な諦め感も自分は漂わせながら、探索を再開した。

21:03

こんな感じのコンクリートの石壁を5mくらい離れた場所から電灯で照らしたとき、鈍く光るものが目に入った。
よくまあ、ピンポイントで目に入ったなと思うくらいの隙間(1cm未満)。(なかじーにはこの時の様子を「レーザービーム」と称されました)

その石壁の隙間に、2センチくらいの鈍い光。

あれ…?なんかいる…?イタァァァァ!!!

最初は確証無かったんだけど、シロマダラの幼蛇の胴体が、石壁の隙間から見えてた。確実にシロマダラだった。

すぐ捕獲しようとしたんだけど、隙間が細かすぎてスネークフックの先っぽすら突っ込めない。

わーわー騒いでいるうちに、隙間の奥の見えないところに入っていってしまった。

み、見つけたのに…。捕獲もできない、写真も残せない。結局「幻状態」と同じ…。泣きそうになって立ち尽くしていると、シロマダラが同じ隙間から、何故か頭を逆さまにして顔を出した!

もちろん捕獲はできるはずもなく。

しかし!証拠は残さねばならない。写真!写真だ!!

でも、既に飲んでいた持病の薬と大興奮による過度な脳の興奮状態で手が震えて使い物になりません…。隙間にストロボも入らず頭の中はパニックです。

暗くてシロマダラがわからないわ


シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

どうだ明るくなつたろう?

もうこの瞬間は、隙間を照らせるなら貴重な100円札でも燃やせるくらいの気分だった。

なんとかシロマダラとわかる、証拠と呼べる写真は収めることが出来たのでひとまず安心…。しかし捕獲するにも手出しのしようがなく、シロマダラは再び隙間の奥に消えてしまった。

でも、なんでわざわざ同じ穴から顔を出したんだろう。もしかして出口がここ1箇所しかないんじゃ?

しかし、コンクリ破壊工作なんかできないし、(できたとしてもやっちゃダメだし)手持ちでなにか捕獲に適した道具など勿論なく、10分くらい隙間の前で立ち尽くしましたが、出てくる気配はありません…。

とりあえず、諦めて一度別の場所に離れることにしました。戻ってきたら出てくるなんてドラマみたいなことがあるといいよね、って言いながら。

なかじーがその後、ニホンマムシとものすごいニアミスをして笑っちゃいかんけど、その様子がなかじーの撮ってたビデオに収められてて何度見ても笑ってしまいます。(ビデオについてはもうちょっと後にね)

ニホンマムシにしばらく撮影に付き合ってもらって、そろそろ撮ってるのが可哀想になってきたのでマムシとおわかれ。

ニホンマムシ
Japanese Mamushi

シロマダラも一応(非常に悔しい)見れたし(実は今年の初めて見た生きた蛇だった)、マムシも見れたし、北海道二珍を観るなんてなんて素晴らしい夜だったんだ…。と自分に言い聞かせて帰ることにした。

でも、もしかしてドラマが待っているんじゃないかと一応、シロマダラを見たところは帰りがけにのぞいてみた。

自分はもう、さっきの隙間に執着して周りが見えなくなってて、視野が狭くなってます。

が、

21:53
ビデオのスイッチを入れながら(←奇跡!)なかじーが叫びました。「イタ!いたいたいた!!

みるとコンクリのの上にヘビが出てきてる!
あ、いるいるいる、ホントだ(やべぇ)!

シロマダラ!多分、さっきのやつが穴から出てきたところだったんだろうね。

Aww、いいの?
え、え?俺、捕まえちゃっていいの?生息状態で写真撮らなくてもいい…?

イイヨイイヨー!
そんなこといってる場合じゃないべさ!早く捕まえて!早く!!

ということで、手に精一杯の愛情を込めて捕まえました。34cmの幼蛇(亜成蛇といってもいいのかも知れない)、♂。

シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

発見捕獲!というより、無事「回収」って感覚。興奮も半端ないけど、それよりすごい安堵感。

夜なので目玉も大きく広がって、とっても可愛らしいです。

が、

やっぱりひり出したマダラ臭。(くさい)この時初めて気がついたけど、この臭いは一番近い表現とすれば犬の肛門周囲腺から出るいわゆる「犬臭さ」の原液状態の臭い。

まあ、臭いはいいです。

なかじーとの連携プレーで、北海道2例目の捕獲確認となりました。

なかじー撮影の動画はこちらの記事にありますよ~!

幻のヘビ ~シロマダラ捕獲の瞬間~ (These days : 中島宏章

気温データなどは
晴天・気温 18℃・湿度 約85%・微風

で、周囲ではやたらとゲジ、ハサミムシ、カマドウマ類がたくさん見られました。

幸い、自分たちが発見したのは♂で、私たちも円山動物園に預けることにしました。これで♂♀揃い踏み!

円山動物園さんには、体の小さい、しかも爬虫類食、しかも神経質なヘビを預けることになってしまい、大変な思いをさせてしまうことになってしまいましたが、出来ることはバックアップしていきたいと思います。
まだ、動物園では非公開飼育をされておりますが、餌を食べたりするようになるなど状況が良くなってきたら動物園の判断で公開されるかも知れませんね!

シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

北海道の爬虫類両生類にとって、そして自分にとって2011年は、とても大きな動きのある年になっています。

円山動物園、そして旭山動物園の爬虫類館新築や改装。自分も北海道の両爬図鑑の出版できたし、シロマダラの立て続けの捕獲…。大事件でした。

みなさんにも爬虫類や両生類がより身近になることを願って、これらの動物に関わっていきたいと思います。

希少な動物であると推測されるので念のため。シロマダラという種のヘビを北海道で捕獲することについて現在法的な問題はありません。が、希少と考えられるため、「捕まえなければいのに」と考える方もいらっしゃると思います。

シロマダラは現在はまだ、北海道のレッドデータブックにも掲載されていない種です。レッドデータブックに掲載するにも「十分な情報のない状態」の種で、人によっては移入ではないか?と考える人もいると思います。

私個人としては、これまでの発見状況等から在来種と考えており、また希少な種だと考えてます。2個体目を捕獲して移送することも少し躊躇しましたが、1例目と併せて雌雄のつがいが形成できること、生態を調べることは希少性を証明するためにも必要だと思うので、シロマダラ生息調査研究会に所属する円山動物園に移送することを決めました。

今後も、北海道のシロマダラ、捕獲した個体の研究について、補助等で私が出来ることはなるべくしていきたいと考えています。

万一、シロマダラが保護が必要な状態になっても、これらの個体から分かる情報や、これからも続けるシロマダラの観察のフィールディング感からどのような環境がシロマダラの生息には必要であるのか、調べていけたらと思っています。

希少な爬虫類や両生類は個体を守ることより、生息できる環境(餌動物が生息したり、隠れたり、温度を適正に出来るなど)を守ることが重要になるケースが非常に多いと思います。

シロマダラも大切な存在として観察していきたいですが、それらが住める環境を広めの視野で見ていけたらと思っています。

シロマダラ生息調査研究会と北海道希少生物調査会の今後の活動も支援していきたいと思っています。

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恵山のシロマダラ2例目

昨日、一般の方から情報提供いただきました。

函館市の恵山近辺でのシロマダラの2例目の情報です。
(2009年10月31日確認)

今年も恵山周辺で泊まりこむかね~。
今年の良い目標になりそうです(毎年負けてますけど~)。

今年、生態写真撮って、今回の記録と一緒にまとめて学会などに
報告かけたら素晴らしいですよね。

細かいことなどは、まとめ上がってからアップしたり、
報告書いたりしましょうね。

北海道内6例目ですね。
テンション上がります。
上がりすぎて朝から電話してしまった。
電話相手の方、ゴメンナサイ。

情報提供いただいた方の写真はこちらです。
30cm程度の個体だったとのこと。

※2011.1.21 追記

情報提供くださった方から、もう少し詳細なお話を伺いました。

  • 当日の天気

薄曇り 風は弱く静穏

  • 気温

服装からの推定で12~13度くらい

  • どんな状況で見たか

狭い登山道上にじっとしていた。近づくと若干警戒するが、臆病ではなく泰然としてた。

  • 発見時間

午前11:00ごろ

  • 植生

火山岩(石)は混在するが、ほぼ粘土質の登山道。
周辺は湿潤でコケ類(モウセンゴケなども)も見られる。
周辺は小規模な噴煙孔が散見されるガレ場、
崖下側はススキ、ササ中心でツツジ科の低木が混在。

10月31日の晩秋ということや、
昼間に確認されている点、
地温はある程度高いと予想されるものの、気温の低い状態での出現、
ほんと面白いヘビですよね。

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StreamLined Syndrome