2015両爬情勢

今年はちょっと早いですが。12月の学会で承認される見込みの日本の両爬の分類状況について軽くメモしておきます。

参考:日本産爬虫類両棲類標準和名のページ

まだ改定案なのですが、12月5日の学会の総会で承認されれば、その時点から学会の正式リストになります。

今年は、新種のリストへの増加はひとつ。

ネバタゴガエル Rana neba

が増えましたね。以前からワンと鳴くカエルということで新種と言われていましたが論文発表され整理がついたのか、新種のリストに入ってきました。ちなみに名前のもととなった産地の根羽村では天然記念物になっているようです。

ヘビの分類が少し変わっていて、さっきへび図鑑にも反映させたのですが、

メクラヘビ属がRamphotyphlops から Indotyphlops に変更されたので、
ブラーミニメクラヘビの学名が変更。
旧: Ramphotyphlops braminus
新: Indotyphlops braminus

ヒバカリ属がAmphiesma から Hebuis に変更されたので、
ガラスヒバァの学名の変更。
旧: Amphiesma pryeri
新: Hebius pryeri

ヒバカリ、及び亜種ヒバカリ、ダンジョヒバカリの学名の変更。
旧: Amphiesma vibakari
新: Hebius vibakari
旧: Amphiesma vibakari vibakari
新: Hebius vibakari vibakari
旧: Amphiesma vibakari danjoense
新: Hebius vibakari danjoensis

ミヤコヒバァの学名の変更。
旧: Amphiesma concelarum
新: Hebius concelarus

ヤエヤマヒバァの学名の変更。
旧: Amphiesma ishigakiense
新: Hebius ishigakiensis

赤文字で書いているように、学名は属名の男性・女性・中性などの属性により
種小名の末部が少し変化する場合があります。この辺ちょっと間違いやすいので、要チェックだ。

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立て続けの大事件(シロマダラ発見)

藻岩山のシロマダラの過去の目撃情報も収拾が付いていないんだけど、6/26にシロマダラが捕獲されたというニュースが飛び込んできた!

情報の整理をして、報道が一段落してからブログに書こうと思っていたら、自分も2個体目のシロマダラを捕獲してしまい、やや混乱してました。(2個体目については、私たちの発見状況の概要を書いておきたいと思います)

1個体目捕獲のニュースが出てから、この話を書きたかったので、少し遅らせました。とても良いニュースが続きましたね!

シロマダラは北海道では初めて確認が報じられたのは1989年。その報告者によって過去の資料等で数例が確認されました。2008年に、一般の方が携帯電話でシロマダラが撮影されたことがきっかけでシロマダラ生息調査研究会が発足。
それから情報を集め集めて、未報告を含めながらも2011年5月で7例の記録が出てきました。これだけ人が住んでいる北海道でたった「7」です。しかも、「生きて捕まって調べられた」ケースがまだ1度もなかったんです。

6/26と6/30、立て続けに2匹のシロマダラがそのテーブルについたという、大事件なわけです。

北海道新聞の7/8の朝刊(札幌圏)で1個体目のニュースが報じられています。

1個体目の北海道のシロマダラを捕獲したのは、庄子信行さん(北海道希少生物調査会(代表:寺島淳一さん))。北海道希少生物調査会は今年の調査対象をシロマダラに絞り、探索していたところ、夜間に石狩市で発見されました。(この調査は、北海道新聞野生生物基金の助成金を受けて実施されているとのことです)

地域の詳細については、周辺民家のことや、その他いろいろ配慮しなくてはいけないところもあるので控えられています。

62cmの立派なメスです!(私も同定確認をさせていただいたので、個体を見てきました)

今回の捕獲のとても意義が高いところは、今までの発見報告と異なり、捕獲されて生態を調べることができる状態にあることや、「シロマダラを探して見つけたこと」にも大きな意義があります。今までの偶発的な発見とまた別の話です。

とても素晴らしい発見です!しかし、正直なところ、「先をこされた!羨ましい~!」です(^^;

捕獲された個体は、円山動物園へ移送されました。北海道希少生物調査会は以下の通り理由を説明しています。

シロマダラは、”幻のヘビ”と言われてきた稀少種であり、本道における生息状況・生態は長らく不明でした。このことから今回の発見は学術的な価値が高いと判断され、個体を動物園に一時移送することとしました。移送先を動物園とした理由は、動物園が平成20年に結成された「シロマダラ生息調査研究会」に属しているため、情報及び個体の適正管理が可能な場所として妥当であると判断したことによります。

さて、6/26の大発見のニュースの余韻の中、自分の考えていた「シロマダラの居そうな所」の推測は正しかったのだろうか…とフィールドを確認することにしました。
一にも二にも、動くのは大切ですし、環境を複数の目で確認して、見たほうがいろんな事を考えられますし、動物園での飼育にも役立つ知見があるかなと思います。
北海道希少生物調査会がシロマダラを確認した環境付近を観察してきました。

フィールドはなかじー(中島宏章さん:写真家)と一緒に行ってきました。夜のフィールドは一人ではやっぱり怖いものです。こんな時に一緒にフィールドに出られる仲間たちはとても大切ですね!

6/30
日暮れはだいたい20時。2人で動き始めました。なかじーとのヘビを探すフィールドをすると、いつもヘビは1匹は見ます。
初めて会ったときにはマムシを遠軽に探しに行って、ちゃんと見つけたり、シロマダラ探しでシロマダラは見つからなかったけど定山渓山中で瓦礫の中からシマヘビを掘り出したことも…。

「北海道でシロマダラがこの近隣で、ここ数日内に生きて捕まった」という事実を直に感じながら、自分たちも、今まで以上に細かいところを探していきました。

ひととおり歩いて、ちょっと休憩に入る。やっぱり、ゆるくないよね~。何年も探してるんだもんね~。微妙な諦め感も自分は漂わせながら、探索を再開した。

21:03

こんな感じのコンクリートの石壁を5mくらい離れた場所から電灯で照らしたとき、鈍く光るものが目に入った。
よくまあ、ピンポイントで目に入ったなと思うくらいの隙間(1cm未満)。(なかじーにはこの時の様子を「レーザービーム」と称されました)

その石壁の隙間に、2センチくらいの鈍い光。

あれ…?なんかいる…?イタァァァァ!!!

最初は確証無かったんだけど、シロマダラの幼蛇の胴体が、石壁の隙間から見えてた。確実にシロマダラだった。

すぐ捕獲しようとしたんだけど、隙間が細かすぎてスネークフックの先っぽすら突っ込めない。

わーわー騒いでいるうちに、隙間の奥の見えないところに入っていってしまった。

み、見つけたのに…。捕獲もできない、写真も残せない。結局「幻状態」と同じ…。泣きそうになって立ち尽くしていると、シロマダラが同じ隙間から、何故か頭を逆さまにして顔を出した!

もちろん捕獲はできるはずもなく。

しかし!証拠は残さねばならない。写真!写真だ!!

でも、既に飲んでいた持病の薬と大興奮による過度な脳の興奮状態で手が震えて使い物になりません…。隙間にストロボも入らず頭の中はパニックです。

暗くてシロマダラがわからないわ


シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

どうだ明るくなつたろう?

もうこの瞬間は、隙間を照らせるなら貴重な100円札でも燃やせるくらいの気分だった。

なんとかシロマダラとわかる、証拠と呼べる写真は収めることが出来たのでひとまず安心…。しかし捕獲するにも手出しのしようがなく、シロマダラは再び隙間の奥に消えてしまった。

でも、なんでわざわざ同じ穴から顔を出したんだろう。もしかして出口がここ1箇所しかないんじゃ?

しかし、コンクリ破壊工作なんかできないし、(できたとしてもやっちゃダメだし)手持ちでなにか捕獲に適した道具など勿論なく、10分くらい隙間の前で立ち尽くしましたが、出てくる気配はありません…。

とりあえず、諦めて一度別の場所に離れることにしました。戻ってきたら出てくるなんてドラマみたいなことがあるといいよね、って言いながら。

なかじーがその後、ニホンマムシとものすごいニアミスをして笑っちゃいかんけど、その様子がなかじーの撮ってたビデオに収められてて何度見ても笑ってしまいます。(ビデオについてはもうちょっと後にね)

ニホンマムシにしばらく撮影に付き合ってもらって、そろそろ撮ってるのが可哀想になってきたのでマムシとおわかれ。

ニホンマムシ
Japanese Mamushi

シロマダラも一応(非常に悔しい)見れたし(実は今年の初めて見た生きた蛇だった)、マムシも見れたし、北海道二珍を観るなんてなんて素晴らしい夜だったんだ…。と自分に言い聞かせて帰ることにした。

でも、もしかしてドラマが待っているんじゃないかと一応、シロマダラを見たところは帰りがけにのぞいてみた。

自分はもう、さっきの隙間に執着して周りが見えなくなってて、視野が狭くなってます。

が、

21:53
ビデオのスイッチを入れながら(←奇跡!)なかじーが叫びました。「イタ!いたいたいた!!

みるとコンクリのの上にヘビが出てきてる!
あ、いるいるいる、ホントだ(やべぇ)!

シロマダラ!多分、さっきのやつが穴から出てきたところだったんだろうね。

Aww、いいの?
え、え?俺、捕まえちゃっていいの?生息状態で写真撮らなくてもいい…?

イイヨイイヨー!
そんなこといってる場合じゃないべさ!早く捕まえて!早く!!

ということで、手に精一杯の愛情を込めて捕まえました。34cmの幼蛇(亜成蛇といってもいいのかも知れない)、♂。

シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

発見捕獲!というより、無事「回収」って感覚。興奮も半端ないけど、それよりすごい安堵感。

夜なので目玉も大きく広がって、とっても可愛らしいです。

が、

やっぱりひり出したマダラ臭。(くさい)この時初めて気がついたけど、この臭いは一番近い表現とすれば犬の肛門周囲腺から出るいわゆる「犬臭さ」の原液状態の臭い。

まあ、臭いはいいです。

なかじーとの連携プレーで、北海道2例目の捕獲確認となりました。

なかじー撮影の動画はこちらの記事にありますよ~!

幻のヘビ ~シロマダラ捕獲の瞬間~ (These days : 中島宏章

気温データなどは
晴天・気温 18℃・湿度 約85%・微風

で、周囲ではやたらとゲジ、ハサミムシ、カマドウマ類がたくさん見られました。

幸い、自分たちが発見したのは♂で、私たちも円山動物園に預けることにしました。これで♂♀揃い踏み!

円山動物園さんには、体の小さい、しかも爬虫類食、しかも神経質なヘビを預けることになってしまい、大変な思いをさせてしまうことになってしまいましたが、出来ることはバックアップしていきたいと思います。
まだ、動物園では非公開飼育をされておりますが、餌を食べたりするようになるなど状況が良くなってきたら動物園の判断で公開されるかも知れませんね!

シロマダラ
Oriental Odd-teeth Snake

北海道の爬虫類両生類にとって、そして自分にとって2011年は、とても大きな動きのある年になっています。

円山動物園、そして旭山動物園の爬虫類館新築や改装。自分も北海道の両爬図鑑の出版できたし、シロマダラの立て続けの捕獲…。大事件でした。

みなさんにも爬虫類や両生類がより身近になることを願って、これらの動物に関わっていきたいと思います。

希少な動物であると推測されるので念のため。シロマダラという種のヘビを北海道で捕獲することについて現在法的な問題はありません。が、希少と考えられるため、「捕まえなければいのに」と考える方もいらっしゃると思います。

シロマダラは現在はまだ、北海道のレッドデータブックにも掲載されていない種です。レッドデータブックに掲載するにも「十分な情報のない状態」の種で、人によっては移入ではないか?と考える人もいると思います。

私個人としては、これまでの発見状況等から在来種と考えており、また希少な種だと考えてます。2個体目を捕獲して移送することも少し躊躇しましたが、1例目と併せて雌雄のつがいが形成できること、生態を調べることは希少性を証明するためにも必要だと思うので、シロマダラ生息調査研究会に所属する円山動物園に移送することを決めました。

今後も、北海道のシロマダラ、捕獲した個体の研究について、補助等で私が出来ることはなるべくしていきたいと考えています。

万一、シロマダラが保護が必要な状態になっても、これらの個体から分かる情報や、これからも続けるシロマダラの観察のフィールディング感からどのような環境がシロマダラの生息には必要であるのか、調べていけたらと思っています。

希少な爬虫類や両生類は個体を守ることより、生息できる環境(餌動物が生息したり、隠れたり、温度を適正に出来るなど)を守ることが重要になるケースが非常に多いと思います。

シロマダラも大切な存在として観察していきたいですが、それらが住める環境を広めの視野で見ていけたらと思っています。

シロマダラ生息調査研究会と北海道希少生物調査会の今後の活動も支援していきたいと思っています。

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北海道シロマダラ情報-道南-

北海道新聞の夕刊で、
「ヘビの人」として紹介していただいた反響で
シロマダラについての情報提供があった。

やっぱり、新聞という媒体は影響が強いですね!

情報は、函館と七飯町でのシロマダラの確認情報です。
函館の個体は、事故にあったのか、瀕死の状態ではあったものの
生体の写真が残っており、とても貴重な情報となりました。

シロマダラ・アオダイショウ道南(北海道)の山と花・蝶・渓流魚

近いうちに、こちらの方面にもお邪魔して
調べてみたいと思っています。

こう、シロマダラの具体的な情報が集まり始めると、
テンションが上がってきますね!!

また、上記ブログ作者のバタフライさんには、
ご協力、大変感謝いたします。

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「毒」の知見

ここ最近のナショナル・ジオ・グラフィックのネット記事で毒についての知見がいくつか上がっていたので引っ張り出してみた。

毒で獲物を仕留めるコモドオオトカゲ(ナショナル・ジオ・グラフィック)

この記事によると、オーストラリアの学者さんがコモドドラゴンの持つ「毒」の通説を覆しそう。

今までは、咬まれた動物の傷口にコモドドラゴンの口の中にいる細菌が大量に入りほどなく敗血症になって死ぬ、という説が通って来たのだが、このリサーチだと毒の成分による血圧の低下によりショックを起こして衰弱するとのこと。
血圧の低下から失血も進むような記述があるけど、ここはちょっとよくわからなかった。失血が進んで血圧低下ならわかるんだけど。。

で、イグアナやオオトカゲ、アシナシトカゲからも何かしらの成分が見つかっていたと。毒だらけじゃん。。

ここでもう一つ紹介したい記事

あらゆる種類のタコが有毒と判明(ナショナル・ジオ・グラフィック)

ヒョウモンダコが人を死に至らしめる毒を持つことは知られていたが、他のタコにも毒があることを突き止めたという記事。ただ、人に対して影響があるのはヒョウモンダコくらいらしい。獲物である二枚貝などに対してよく効く毒を打ち込むようです。

ここで「毒がある」に疑問を持ちませんか?

「人に対して毒がある」を有毒と考えるか、「人には影響がないが、他の生き物を死に至らしめる毒」を有毒と考えるかです。

私がボルネオでヒメヘビの一種がミミズに咬みついたとき、あれほど生命力のしぶといミミズがものの30秒程度で動かなくなりました。きっとこれも「毒」なんじゃないかな、と思いました。

ハブやニホンマムシ、ヤマカガシやウミヘビの仲間が有毒であるのはよく知られ、ヒメハブやトカラハブなんかだと弱い毒と言われます。このあたりは実際に被害が発生しています。

もちろん強烈な毒をもつけれど、実際に咬まれる事故のようなものが起こっていないヒャンやハイ、イワサキワモンベニヘビなんていうのもいます。
これは性格的なもの、体が小さいためなどが考えられます。

文献により、ガラスヒバァは毒を持つ扱いになっています。ただ、咬まれることはよくあるのですが、人に被害が出た記録がないようです。ただし、ガラスヒバァの「毒」を多量にマウスに打つと死亡するようなデータも出ているため、「毒」と扱われるようです。

このように微妙な、そして別の目的として「餌だけに効く」ような毒はどのヘビも持っているのかもしれませんね。

一般にヘビの世界で「毒ヘビ」と呼ばれるものをピックアップしてみると
・人に健康被害をもたらす能力がある
・毒を生き物に送り込むための「特殊化した毒牙」をもつ

ここが重要視されています。なので、被害はないけどこの2つを備えるハイやヒャン、イワサキワモンベニヘビは毒蛇。毒牙がないガラスヒバァは毒蛇としない説明を受けたことがあります。(ヤマカガシはちゃんと毒牙があるので毒蛇です)

トカゲはおそらく考え方は違うのでしょうけれど、アメリカ大陸にはアメリカドクトカゲとメキシコドクトカゲという有毒とされるトカゲがいます。健康被害から考えると上の研究が正しければ
コモドドラゴンも有毒という分野におかれるのかもしれませんね。

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