昨日、仕事の関係で講習会に出ていた。
そこで、「探そう!ほっかいどうの虫」の著者の堀さんのお話を聞けた。
ちょっと挨拶も出来て、本当に良かった。
面白い話がいろいろ聞けました。
例えば
アライグマのサンショウウオ捕食の被害。
産卵場に現れて結構な数を捕食している様子。
たくさんの尾が捨てられていて、20本くらいサンプルを見せてもらえた。
ここからは自分の推測だけど、
爬虫両生類学会報 第2009巻第2号、特集:両生類・爬虫類の色彩と色彩変異
三浦郁夫 有尾類の体色の多様性と機能 pp160-169
に掲載された内容から、尻尾だけ食べないことに対して考える。
この論文では色彩や威嚇姿勢による毒について記述されているのですが
「多くの陸生両生類は、捕食者にとって不味い化学物質を、
皮膚にある顆粒腺(毒腺)を中心に体に蓄えている」
としており、また
「このタイプのグループは筋肉の発達した尾を持ち、
その尾の背中側の皮膚に顆粒腺が発達する」
「トウキョウサンショウウオやカスミサンショウウオ
などのサンショウウオ属はこのグループに含まれる」
エゾサンショウウオも同じく尾に顆粒腺があり、
アライグマは不味いから残す、と推測してみました。
それにしても普段は散開していて滅多に捕まらないサンショウウオだけど
サンショウウオが産卵に集まってくる場所で産卵前の個体を大量に捕食されたら、
その後の子孫も全滅なわけで、かなり甚大で深刻な被害に
なって行くのは間違いないと思う。
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それから、もうひとつ、自分では全く想像してもいなかった話。
でも気にすれば至極その事態は予測できるものだった。
酪農と獣医が糞虫を減らしてしまう可能性だ。
イベルメクチンと言う薬がある。
この薬は寄生虫の駆虫薬で線虫や節足動物系の外部寄生虫で効く。
この薬は牛馬などで普通に使われる。
犬でもフィラリアとか、場合によって疥癬に使われたりする。
注射としても利用するが、塗布でも使用されることがある。
この薬は体に入って、最終的には便に排泄される。
酪農で、外で飼育されている牛の糞にイベルメクチンが含まれていると…。
ダイコクコガネやゴホンタイコクコガネで死亡、
コエンマコガネで羽化率の低下などが見られたそうだ。
獣医として、犬にイベルメクチンを投与したことはあるのだが、
犬などそういう、投与対象に対する影響はよく考えたが排泄物まで考えが及んでこなかった。
家畜では人間が食用にする場合は、抗生物質などの場合は投与した動物の肉は
ある一定期間おかないと、薬物が蓄積しているからということで市場に出せないという
ルールはあるのだが、こういう形でイベルメクチンが環境にも影響を与えているとは…。という
大きなショックがありました。
ほとんどの獣医師も、酪農家もそこまで気は回っていないだろうね。
うんこにたかる昆虫や節足動物はかなりたくさんいるわけで、
堆肥にもなって行くであろうこともあるので
これは「酪農地帯北海道」としては意外と大きな問題になりうるのかもしれない。
今はエゾシカが増えて、エゾシカの糞で糞虫も生活できるかもしれないけど、
エゾシカが減って来た時には酪農動物の糞に依存するわけで。。。
こういう問題があることを、全く知らなかった。
ちなみにイベルメクチンを含むある商品の使用注意欄には
イベルメクチンは主として糞中に排泄されるので、
排泄物の肥料化又は浄化処理を適切に行うこと
と明記されていた。
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