2008
07.07

ハブ

ハブ
はぶ

飯匙倩
Protobothrops flavoviridis
(Habu)


鹿児島県徳之島産
撮影:ばいかだ

棲息地
奄美諸島(喜界島・沖永良部島・与論島を除く)と沖縄諸島(伊是名島・粟国島を除く)

特徴
全長100~240cm。黄褐色、灰色、濃緑色、茶褐色等の地に暗褐色~黒色の不規則な斑紋を持つ。生息する島によって変異が多い。体は細身で頭部は大きく長三角形。その顔面には近寄りがたい雰囲気がある。
奄美諸島の奄美本島系列は背面の斑紋は複雑で濃く、頸部でやや長くなる個体が見られる。(もちろん他のパターンも見られることはある)


鹿児島県加計呂麻島産
撮影:ばいかだ

徳之島系列は、赤褐色の個体が見られる。(もちろん他のパターンも見られることはある)


鹿児島県徳之島産
赤色個体
撮影:ばいかだ

久米島系列は、斑紋が背骨寄りに細長い個体が見られる。(もちろん他のパターンも見られることはある)


沖縄県久米島産
撮影:寺田考紀

沖縄本島系列では、斑紋が細かく複雑でなものが見られる。(もちろん他のパターンも見られることはある)


沖縄県沖縄本島北部産
撮影:寺田考紀

頭部の後半が非常の幅広で、平常時でも頭は二等辺三角形に見え、頸部は細くくびれる。
虹彩は、赤いものがほとんどだが黄色い虹彩をもつものや、稀に白い虹彩をもつものがいる。


鹿児島県徳之島産
虹彩が黄色い個体
撮影:ばいかだ


鹿児島県徳之島産
虹彩が白い個体
撮影:ばいかだ

腹板には目立つ模様はない。


鹿児島県徳之島産
撮影:ばいかだ

体鱗
35列。キールがある。


鹿児島県徳之島産
鱗は非常に細かく、多い
撮影:ばいかだ

習性
夜行性、樹上性、地上性。人家~森林まで、どこにでもいる可能性がある。
稀に大人しめの個体もいるが、いじれば咬もうとする。気が荒いと考えた方が問題が起こらない。また、生息する島によっても気性の差はあるようで、殊に徳之島の個体は荒いと聞く。(咬傷事故件数は徳之島で非常に多い(個体数が多いというのもあると思うが))


鹿児島県徳之島産
威嚇姿勢
撮影:ばいかだ

環境
森林・耕地(サトウキビ畑)。人家にもネズミ等を追って入ってくることがある。また墓地、遺跡などにも生息し非常に生息範囲は広い。基本的には餌となるネズミ、カエル等の多いところや隠れるのに適したところ。

食性
ネズミ・小鳥を中心にカエル・トカゲ等の小型脊椎動物も食べる。大きなものではアマミノクロウサギやアオバズク・アマミヤマシギなどの捕食例もある。幼蛇の間はカエルなどを好んで食べるようです。

幼蛇
親と同じでそのまま小さい。ただし、親にも変異が多いので、模様等は一律には表現しにくい。


沖縄県沖縄本島産
撮影:寺田考紀

この個体は、黄色味や赤味が無いが地色はいろいろ変異する。またこの個体の模様パターンは沖縄本島系列タイプ。


毒をもつ。ニホンマムシほど毒性は強くないといわれるが、大型のヘビなので毒量が多く、死亡例もある。
血清治療などが浸透してきているので、死亡数は非常に少なくなった。
しかし、助かっても筋肉組織の壊死などを起こし、運動障害を残すことも少なくない。斜視などの神経的な作用が起こることもある。
一時、「タイワンハブとハブの雑種個体が持つ毒には血清が効かない」という話があったが、血清治療は雑種個体に咬まれた時でも有効のようです。

その他
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)により特定動物(危険な動物)に指定されている。
飼育や保管には都道府県知事、もしくは政令市の長の許可が必要。
2~5月に交尾、7~8月に3~21個の卵を産む。
日本を代表する毒蛇の一つであり、国民の多くがその名を知っている。
体色や斑紋などの島ごとによる変異の他に、遺伝的な変異が見られることもある。


鹿児島県徳之島産
黒化型
撮影:ばいかだ


鹿児島県徳之島産
黒化型腹面
撮影:ばいかだ

黒化型はトカラハブで発生が多いが、稀にハブでも発生が起こるようです。この個体はほぼ全身が黒化してり、虹彩のみ白い個体でした。


沖縄県沖縄本島産
通常個体と黄色色素欠乏個体
撮影:寺田考紀

また、ハブの住む島では地元の方々が色彩変異個体を「金ハブ」や「銀ハブ」などと呼ぶことがあるが、金ハブは黄色みの強いザンティック個体、銀ハブは黄色色素欠乏のアザンティック個体のことを指していると思われます。


沖縄県沖縄本島産
アルビノ個体
撮影:寺田考紀

また、これもごく稀に、アルビノも発生することがあります。

貴重度
島によって生息数はまちまち。生息域が広いヘビなので、拡散分布していて見つけにくいのもあると思うのだが、沖縄本島北部ではなかなか見れる機会も少なかった。
ハブは、有害動物としての駆除対象で役場によってはハブの引き取りなど行ったりするところもあるが、これがハブの生息数に圧力がかかるかは不明。減りすぎた地域では、さらに生息数を減らす要因にもなる可能性があると思われるが、徳之島のように駆除を行っていても咬傷事故がそんなに減らない地域もあり、意外と繁殖力も強いのではないかとも思われる。
沖縄本島では帰化が認められたタイワンハブサキシマハブとの交雑によって繁殖のチャンスを潰してしまうのも気掛かりではあったが、近年ではタイワンハブやサキシマハブの生息数は増加している様子が見られるものの、雑種個体の捕獲はほとんどない。
日本固有種。

うんちく
日本最大の毒蛇として恐れられる彼らだが、奄美大島の伝統「大島紬」のデザインの元となったのはハブの紋様もひとつのヒントだったそうだ。
人間を死に至らしめるほどの毒を持ち、恐怖も先立つが畏敬の念も地元の人から受けているヘビである。


鹿児島県徳之島産
撮影:のら

毒牙は注射針のようになっており(管牙)、毒は牙の中心を通って先端部に分泌される。


鹿児島県徳之島産
撮影:のら

牙は後方から新しいものが育ち、生え換わる。上の写真は新しい牙が生えてきているが、まだ古い牙が脱落していないため二重の牙のようになっている。

注意
当ページは「へび図鑑」及び「携帯へび図鑑」の1ページです。

今後も新知見等出ましたら随時更新されます。
なお、内容(画像を含む)の 無断転記・転載は禁止です。
使用する際には「ばいかだ」に一報し、サイト名(へび図鑑)、撮影者、引用URLを掲示してください。

写真を提供してくださった「寺田考紀」さんと「のら」さんに感謝いたします。
寺田さんのサイトはこちらです→「ハブの館
のらさんのお勤め先、ジャパンスネークセンターのサイトはこちらです。

また、「のら」さんの撮影した個体、私が撮影した徳之島産の個体はジャパンスネークセンターの協力で撮影させていただきました。
ジャパンスネークセンターに御礼申し上げます。

その他の個体の撮影、説明の作成は、ばいかだ(徳田龍弘)が行いました。

ご意見、ご興味などありましたら私のサイトもご覧ください。
Baikada.com

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