2009
09.09

ニホンマムシ
にほんまむし

日本蝮
Gloydius blomhoffii
(Japanese mamushi)

群馬県産
撮影:のら

棲息地
北海道・本州・四国・九州・国後島・天売島・佐渡島・隠岐・壱岐・五島列島・甑島列島・屋久島・種子島・伊豆大島

特徴
全長40~65cm。
体背面は褐色から赤褐色のものが多く、左右に20対前後の楕円形の暗色斑がある。斑紋の中心部は薄く真ん中には暗色の点があることがほとんどで「五円玉」のような銭型紋に見える。暗色斑の縁取りや中心点は個体によって濃淡の差が大きい。


群馬県産
成蛇
撮影 : ばいかだ


東京都伊豆大島産
成蛇
撮影 : ばいかだ

舌の色は暗褐色。


宮崎県産
成蛇
撮影 : ばいかだ

ずんぐりしていて太短い体型をしている。首のくびれがはっきりしていて、頭部は「常に」三角。
眼線はアオダイショウの眼線よりも太く、非常にはっきりとした境界を持つ。


北海道遠軽町産
幼蛇
撮影 : ばいかだ

頭部にも斑紋が見られるが、この斑紋は一様ではなく個体差が大きい。


宮崎県産
成蛇
撮影 : ばいかだ

腹板はこげ茶~朱色の細かい斑がみられる。


北海道遠軽町産
幼蛇
撮影 : ばいかだ

体鱗
胴の中央部付近で21列。
鱗にはキールがある。

習性
捕食など活発に行動するのは夜間だが、昼間にも日光浴している姿も見られる。特にメスが産仔前(秋)に出ているのが見られるケースは多い。
ほとんど地面におり、追い詰めたり混乱しない限り木などに登ることはない。
比較的穏やかな性格の持ち主が多いが、ほぼすべての個体で「触る・踏む・棒でつつく」などすると咬みついてくる神経質さは持っている。決して刺激しないこと。

環境
比較的深い森~里山に棲息している。またその周辺の田畑にも出没する。

食性
カエルやネズミを中心に様々な小型脊椎動物を食べる。

幼蛇
尾の色が薄かったり黄色かったりする。
これをルアーにして餌を寄せると思われる行動をとる事がある。
その他はほとんど親と同じ外見。


北海道遠軽町産
幼蛇
撮影 : ばいかだ

伊豆大島では、赤みが強い個体が見られる。幼蛇の方が赤みの傾向が強い。
赤みを残しつつ成長するものもいるが、その後茶色く変色する個体もいる。
その他の地域でも赤い個体は散見される。


東京都伊豆大島産
赤い幼蛇
撮影 : ばいかだ


強い毒をもつ。
毒の作用としては筋肉部に毒が入ると筋を腫脹・融解・壊死させる出血毒症状が主。
また、赤血球や筋破壊による血色素尿や筋色素尿症を呈し、腎不全に至ることもある。
また、あまり知られてはいないが神経系の作用も少しあり、物が二重に見えるなどの症状が起こることもある。 (大陸産のマムシでは神経系の作用が強い)
ただ小型の蛇であるためあまり毒量は多くない。
しかし年間咬傷件数が多く、決して侮れない強さの毒のため、治療が遅れたことで死亡する例もある。
怪しい蛇にかまれた場合は病院にすぐ行くこと。またジャパンスネークセンター(電話0277-78-5193)に相談して的確な指示を貰うのもいいだろう。
血流に毒が入ってしまい筋肉部分の症状が見られず、ヤマカガシ咬症と誤診され適切な治療が受けられなかったことでの死亡に至ったケースもあるので、症状のみからだけ判断せず咬まれた傷の形状などから治療は適切に行われるべきです。


(新潟県産妊娠個体が産んだ仔)
撮影 : ばいかだ

毒牙は折り畳みが可能であり、口を閉じているときは牙は立っていない。
また牙は抜け落ちてもすぐに抜け落ちた後ろから新しい毒牙が生えてくる。

その他
動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)により特定動物(危険な動物)に指定されている。
飼育や保管には都道府県知事、もしくは政令市の長の許可が必要。
赤味が強いものがおり、俗にアカマムシといわれる。
変異では発生頻度は高い方と思われる。


産地不明(飼育下繁殖)
銭型紋がはっきりしている個体
撮影 : ばいかだ

赤みの強い個体では、舌の色も普通の個体より赤みが強い印象(黒が薄い?)。


東京都伊豆大島産
舌の色はやや明るめ
撮影 : ばいかだ

逆に赤色の欠乏している型のものもいる。


新潟県産
赤系統の色素欠乏型のもの(一部斑紋崩れ)
撮影 : ばいかだ

全身が黒化する個体もいる。


群馬県産
黒化型
撮影 : ばいかだ

黒化型は腹板も含め、全てが黒い。


群馬県産
成蛇
撮影 : ばいかだ

2008年に北海道共和町で捕獲されたアルビノ個体。


北海道産
アルビノ成蛇
撮影 : ばいかだ


北海道産
アルビノ成蛇
撮影 : ばいかだ

銭型紋を持たないパターンレス個体も稀にみられる。


新潟県産
パターンレス個体
撮影 : のら


滋賀県産
少し斑紋が見えるがパターンレス系。そして赤い個体
撮影 : むしぶん

斑紋の変異は他に、斑紋崩れの場合もあり、かなり印象が変わる。以下の写真は斑紋崩れであるが、上方で紹介した赤色欠乏型の個体も実は斑紋崩れである。


新潟県産
斑紋崩れ個体
撮影 : のら

繁殖は8~9月に交尾、翌年の8~10月に5~6匹の仔を産む。胎生。
卵は産まないため「マムシの子は親の腹を裂いて出てくる」などと表現されることもある。
またオスの生殖器(ヘミペニス)が撮影できたので載せておく。


群馬県産
成蛇
撮影 : ばいかだ

貴重度
住む環境が自然度の高い場所なので、見られる場所は多くない。
しかし生息に適した場所には密度濃く生息する傾向にある。
日本固有種。

うんちく
秋口にはメスはお腹の仔のためによく日光浴に出てくる。
ニホンマムシは毒蛇咬症も少なくないため攻撃的なイメージが強いが、
人間がちょっかいを出したりマムシを不用意に踏んだりしなければ咬みつかれる事はほとんどない。
マムシを踏んだり、草刈り中の農家の方が咬まれることでの咬症例がほとんど。
地上に住んでいるため、木の上などで見られることはまずない。
山を歩く時で不安に駆られるのであれば、足を置く位置の周囲1mくらいの範囲を確認しながら歩けば比較的安全である。
農作業、草刈り等の作業中にも気をつけて行動しましょう。

最後に色彩変異個体(パイボールド)です。
模様のバランスが完全に崩れ、白い部分が非常に多くなっています。


(新潟県産妊娠個体が産んだ仔)
撮影:ばいかだ

この色彩変異体の腹板。腹板もかなり複雑な色彩・紋様をしていた。


(新潟県産妊娠個体が産んだ仔)
撮影:ばいかだ

参考文献
日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類 平凡社
日本のカメ・トカゲ・ヘビ 松橋利光・富田京一著 山と渓谷社
日本の両生類・爬虫類 松井孝爾著 小学館

注意
当ページは「へび図鑑」及び「携帯へび図鑑」の1ページです。

今後も新知見等出ましたら随時更新されます。
なお、内容(画像を含む)の 無断転記・転載は禁止です。
使用する際には「ばいかだ」に一報し、サイト名(へび図鑑)、撮影者、引用URLを掲示してください。

写真を提供してくださった「のら」さん、及び「むしぶん」さんに感謝いたします。
また、飼育下繁殖個体は、ジャパンスネークセンターで生まれた個体です。「のら」さんのご協力で記録できました。
アルビノ個体は、札幌市立円山動物園の協力により撮影させていただきました。
むしぶんさんのHPはこちら
のらさんのお勤め先、ジャパンスネークセンターのサイトはこちら
札幌円山動物園のサイトはこちらです。

「のら」さん、「むしぶん」さん、ジャパンスネークセンター、札幌市立円山動物園に御礼申し上げます。

提供頂いたもの以外の撮影、説明の作成は、ばいかだ(徳田龍弘)が行いました。
ご意見、ご興味などありましたら私のサイトもご覧ください。”Baikada.com

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