2009
10.24

サキシマバイカダ
さきしまばいかだ

先島梅花蛇
Lycodon ruhstrati multifasciatus
(White banded wolf snake)


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

棲息地
西表島・石垣島・宮古島・伊良部島

特徴
全長70~80cm。とても細長い。
稀に見られる1m近い個体でも太さは成人の親指にも満たない。


西表島産個体
亜成蛇
撮影:ばいかだ

淡灰褐色の地に黒~黒褐色の横帯が並ぶ。
体型に差はあるものの、模様や食性などシロマダラによく似ている。


西表島産
成蛇
撮影:ばいかだ

ヘビの個体差、状態、観察条件(夜や昼などの光線の違い)により地色は灰褐色から褐色に見えることもある。
八重山諸島産の個体の横帯は後方に行けば行くほど幅が狭くなる。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

宮古諸島産は頭側の横帯が細く、後方の横帯との差が八重山諸島産ほどでない。

瞳孔は夜行性のため、縦長型をしている。
しかし虹彩が黒く、瞳孔が見えづらいため、真っ黒の目玉に見える。
写真では見づらいが縦長の瞳孔が伺える。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

下の写真は夜間に、光を長時間当てない状態で撮影した状態。
瞳孔は完全に開いており、丸くなっている。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

撮影を続けていたところ、光に順応し、瞳孔が小さくなってきている。(下の写真)


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

下の色はピンク色。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

上から見ると眼球は突出している。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

腹板は白~クリーム色。
後半部には小さな小黒点が混じるがあまり目立たない。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

ちなみに上の写真は、メスの総排泄口周辺の写真です。
他の蛇だとメスの尾の基部は総排泄口を境に細くなる傾向にあるが、
(オスはヘミペニスが尾の基部に収納されるため、それを持たないメスは尾の基部が細くなる)
サキシマバイカダではほとんどそれが認められない。
むしろオスでは尾の基部が膨隆するように見える。

首のくびれはしっかりとあり、頭部は頸部に比べ大きい。
下から見ても突出した眼球が確認できる。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

体鱗
胴の中央部周辺で17列。
背中央部の9列、後方では11列に弱いキールが認められる。


石垣島産
成蛇
撮影:ばいかだ

習性
夜行性で樹上性。
日があるうちはほとんど姿を見ることはできない。
また、樹上性であるが体が細く軽いため、木の幹だけにとどまらず、かなり細い枝や大型の草本の上にいることもある。


石垣島産
成蛇:コミノクロツグの葉の上にて
(これは昼間に生息状況を再現した写真です)
撮影:ばいかだ

葉の裂間を器用に移動することもできる。


石垣島産
成蛇:コミノクロツグの葉の上にて
(これは昼間に生息状況を再現した写真です)
撮影:ばいかだ

実際の動きは動画にて。


樹上のサキシマバイカダ -Sakishima wolf snake-

環境
森林や林縁に住む。
基本的に、餌となるトカゲ類が多い場所に見られる傾向にある。
樹上(というより草本上)にいることが多くが、道路を横断する姿も見かける。


西表島産個体
幼蛇
撮影:ばいかだ

食性
サキシマキノボリトカゲやサキシマカナヘビ、ヤモリ類などのトカゲ類を主に、小型爬虫類を食べる。

幼蛇
親と大きな違いはないが後頭部の鱗が白っぽいことがある。
成長とともに色は変わって行く。
そのほかは変わった点はなく、ただ小さいだけ。


西表島産
幼蛇
撮影:ばいかだ


無い

その他
サキシマバイカダはタイリクバイカダ(タイワンバイカダ)の亜種。
基亜種はタイリクバイカダ(タイワンバイカダ)で、中国東部南部と台湾に生息する。
サキシマバイカダは基亜種よりも細長い事が知られる。
繁殖については5月に6卵を産んだ記録があるだけで、詳しいことは不明。

貴重度
以前は採集例も少なく、希少種といわれていたが、ここ数年では目撃例は少なくない。
認識されるようになったから目撃例が増えたのか、なにか要因があって人前に出てこらざるを得なくなったのかは不明だが、やや多いとはいえ他の種類に比べたらレアな存在であることは間違いない。
2006年版環境庁レッドリストで準絶滅危惧種。

うんちく
見かけは可憐で可愛らしい蛇であるが、気は短くよく咬み付く。
口が小さく、歯も小さいので咬まれても血も出ることは少ないが、激しく噴気して顔面を狙って咬むこともあるので扱いには注意。


石垣島産
成蛇:威嚇姿勢
撮影:ばいかだ

平常時はあまり動きのない蛇であるが、敵と対峙したりするとかなり俊敏に動く。


サキシマバイカダ -Sakishima wolf snake-

大嵐などが起こったときは、暴風で振り落とされないようにするためか木の下にいることがある。
また道路わきの石垣の隙間で寝ていることもあった。
決して力強い感じのするヘビではない。
著者のハンドルネーム、「ばいかだ」はこのヘビの名前からとったものである。(好きなので)

※基亜種であるLycodon ruhstrati ruhstratiは図鑑などでは和名「タイワンバイカダ」とされている。ただ、基亜種L.r.ruhstratiは中国にも生息しており、「タイリクバイカダ」と称されることもある。印象感ではあるが、台湾産と中国産で違いも見られる。これらを分類する確実な報告が見つからないが、基産地には「南台湾」・「中国」と両方の情報があるため、ひとまず両名称を併記した。個人的には分けてほしい…。

参考文献
日本動物大百科5 両生類・爬虫類・軟骨魚類 平凡社
日本のカメ・トカゲ・ヘビ 松橋利光・富田京一著 山と渓谷社
八重山群島(琉球)産ヘビに関する若干の知見 高良 鉄夫 爬蟲兩棲類學雑誌(Vol.3 , No.2-3(1969))

注意
当ページは「へび図鑑」及び「携帯へび図鑑」の1ページです。今後も新知見等出ましたら随時更新されます。
なお、内容(画像を含む)の 無断転記・転載は禁止です。
使用する際には「ばいかだ」に一報し、サイト名(へび図鑑)、撮影者、引用URLを掲示してください。

撮影、説明の作成は、ばいかだ(徳田龍弘)が行いました。
ご意見、ご興味などありましたら私のサイトもご覧ください。”Wild home

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