4月 30

この難産が起こった全ての元凶は私です。

野外から連れ帰って自宅で出産させようと思ったのですが、
環境の変化へのストレスや十分な産卵環境に達しなかったからだと思われます。

2010年4月に未産卵のメスと、産卵場にいたオスを捕獲しました。

産卵の経過を観察したかったのですが、
ちゃんと産卵出来ませんでした。

オスは求愛的な動きをし、メスも産卵に努力しているように見えました。


Courtship of Ezo salamander

「ガンバレ」的にオスはピクピク動いてるんだけど(求愛?)
これ以上の助産的な動きはほとんど見られず。

日本動物大百科にはエゾサンショウウオでオスが助産する様子が
書かれていたので期待したのですが、この個体の行動だけでは自力出産に至らず。

もっとオス個体を多数入れれば
そういうシーンも目に出来たかも知れません。

メスが産卵の初っ端に、枝に粘着部分を産み付けることに失敗しているので、
(既に卵嚢の一部は生まれ始めてる)
なおさら難産は仕方ないとも思います。。

何粒かまでは自力で出してきたのは確認出来たのですが、
それらが水吸って膨らみ始めてしまったので、
自分が助産することにしました。

(腹から卵を生む途中のメスの死骸を何度か見ているので
難産は死亡に繋がる可能性があると思いました)

単純に引っ張っても出そうでしたが、
激しく暴れるため(相当痛い?)、
麻酔をかけました。

麻酔は、魚類用のFA-100(オイゲノール)を利用しました。
飼育水に麻酔薬を溶いて投与するタイプの麻酔です。

魚類は、エラ呼吸なので麻酔の導入が速やかですが、
成体となったサンショウウオは肺呼吸がメインになるので効きにくいです。

しかし、この時期、水中で長期滞在するために少なからず
周囲の水から皮膚呼吸をしているものと考えて、
魚類の使用濃度の最高濃度より濃いめ(2500倍希釈)で20分浸漬しました。
(皮膚からの吸収に期待)

サンショウウオは不動化はしませんでしたが、
適度に鎮静したのでゆっくり卵嚢を引き出し、出産完了しました。

麻酔の深度は、サンショウウオをひっくり返すと元に戻ろうとしますが、
手足を引っ張ってももとに戻さない程度です。

この麻酔の効果には、水温や個体差などが考えられるので
適宜調整が必要かなと思います。

難産に対して、オキシトシンもありなのかなと思いましたが、
(獣医師時代に爬虫類の難産では何例か使っていい結果を得てる)
そもそもオキシトシンの在庫がないのと、
今回の卵は「産卵の最初に枝に付着できなかったこと」と
「水を吸って膨らんだこと」結果の難産だと思われ
(陣痛微弱のような)難産とは質が違うかな、、と思いました。

処置後、サンショウウオを新鮮な水に入れ替え、
1時間程度でほぼ麻酔前の状態に戻りました。

オスは無麻酔下で総排泄口周辺も押して放精。

それを産みたての卵嚢に浸漬しておきました。

果たしてこれで受精しているのだろうか…
と少し不安でしたが、一部の卵は発生した様子でした。
(受精率は「ゼロでは無かった」という程度ですが…)

その後の経過を様子を見て、両親であるオスとメスは
ほぼ問題がないと考え放してきました。(Drop:Field log)
(もちろん、両親であるサンショウウオの捕獲場所です)

※一度飼育に近い環境で置いたものを野に戻す行為は肯定的、否定的意見があると思います。
今回は伝染病の媒介に対して、
・汚染環境にならないよう個別隔離保管
・人為環境への馴化が起こらないように保管
・個体群内の遺伝子撹乱が起こらないよう、同じ産卵池にいた雌雄で受精
などの配慮はしてみました。
なお、生まれた卵は自宅飼育を継続していきます。

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3月 15

保護中: 保留中

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2月 1

個人のメモ的なPostです。

石垣島で2009年11月に路上で轢死していたサキシマスジオの死体を
友人に送っていただきました。

冷凍保存し、2010年1月に某所で解剖し、
皮を保存できるようにしました。
(開いて干しただけです)

冷凍解凍をした都合で弛緩していた可能性が高いですが、
大きさは198cm。(あまり正確でない)

解剖によりヘミペニスの存在を確認し、オスであることを確認しました。

臓器は、轢かれた際の損傷が激しく、
また冷解凍の繰り返しにより、病的か正常な判断はできませんでした。
(かろうじて各臓器を確認できる状態でした)

腸管内に寄生虫(主に蠕虫)の存在を確認したかったのですが、
肉眼で確認できた虫体は無し。
おそらく原虫などはいたと思われますが、顕微鏡も用意できないので
肉眼所見では原虫他は確認不能でした。

少し、興味を引いたことは脂肪の分布。
背面の皮膚と筋肉の間にかなりの脂肪を蓄えていました。
それに対して、内臓脂肪は目立つような形で見られず。

越冬に向けた脂肪貯蓄でしょうか?
年齢的にここまで大きくなるとこれくらいの脂肪が普通になるのでしょうか?

アオダイショウの幼蛇などを解剖したときは
皮下脂肪は殆どなく、内臓脂肪が多いの所見だったので興味深かったです。

冬の生活に向けて脂肪を貯蓄するのは皮下なのでしょうかね。
幼蛇が逆に内臓脂肪が多いのは、
体が小さいと貯蓄する場所が不足するからとか?
いろいろ考える機会をもらいましたが、
北海道のアオダイショウの幼蛇と石垣島の2mのサキシマスジオを
比較対象にするのはあまりよろしくないとも思います。

今後、機会があればこういうメモを取っておいて参考にしようと思います。

Picture
相当、凄惨だったので自主規制入れてみました

サキシマスジオの冥福を祈ります。

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11月 30

2009.09のケース(サキシマバイカダ)です。

サキシマバイカダの脱皮殻です。
この脱皮殻、おでこの部分が濃い色になっているのがわかりますか?

ここには今回の脱皮の1回前の脱皮殻がくっついていて、
さらにその下の皮膚組織が壊死してくっついています。

鼻先は以前擦って付けてしまった傷で、
おでこにはまた生々しい傷が。(2009.11.30現在、ほとんど目立たないくらいに回復はした)
アオダイショウなどで脱皮不全は目の当たりにしており、
1回程度の脱皮不全ではあまり大きな影響を見なかったため、
次回の脱皮で一緒に脱ぐことを期待したのですが、
甘かったです。

脱皮不全殻が残った時には、
サラダオイルや蒸しタオルを用いてなるべく早く取り去った方が良さそうですね。

サキシマバイカダは細く華奢なので、
長時間触るのがためらわれ、様子を見ていたところ
脱皮殻のついていた皮膚部分が血行障害を起こして脱落してしまったようです。

見極めが難しいのですが、鱗や皮膚がアオダイショウより薄っぺらいところあたりが
結果を左右したのかもしれません。

いずれにしても、もともとの脱皮不全が湿度の低下から起こしていたので
それが大元の原因です。

個体差もあると思いますが、観察している限りでは
サキシマバイカダはそれほど好んで水に浸かる種類ではないようです。

だから、水入れだけでは湿度が不足し、脱皮不全を起こします。

ミズゴケに水を含ませ、固めに絞ったあとで床材として敷き詰めます。
乾いた部分も作らないと皮膚感染を起こすかもしれないので、
飼育ケージの半分は湿り場、水入れ。
もう半分は乾燥場、登り木、シェルターとして、
ようやく問題なく過ごせるようになりました。

現在は温度18-20℃(ちょっと低めだと思う)で休眠中だが、
湿度だけは落ちないように気をつけています。

今回の傷は膿まなかったので幸いでしたが、
膿んでしまうなどが起こった場合は、治療、消毒がかなり大変になってしまいます。

傷一つでもひやひやします。

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9月 19

2009.05のケース(沖縄本島、ガラスヒバァ)です。

Picture

比較的よくみられるヘビの皮下にいる寄生虫です。
ぷよっと腫れているのが解りますか?

カエルを食べるヘビ(日本ではヤマカガシ、ヒバカリ、ガラスヒバァやシマヘビなど)で時々見られます。
稀に、アオダイショウやグリーンツリーパイソンなど、
基本的にはカエル食のヘビではないが過去にカエルを食べた経験があると、寄生されていることがあるようです。

以下ではこのマンソン裂頭条虫の生活史について説明します。
条虫と言うのはいわゆる「サナダムシ」のことです。

マンソン裂頭条虫は人間にも寄生します。
だから、ヘビをむやみに生で食べないようにしましょう。

①哺乳類の多くの種類に、成虫(サナダムシ)として腸に寄生します。
そして成虫は腸の中で卵を産んだり、体の一部を切り離して
哺乳類のウンチに自分の卵を紛れこませます。

②産み落とされた卵は外界の環境に落ち、
雨などに流されて湖などに入っていたところで孵化します。
孵化した幼虫は第一段階の「コラシジウム」と呼ばれます。

③コラシジウムは水中のプランクトン、ケンミジンコ類(第一中間宿主)に
捕食され体内に侵入します。
そして成長し、幼虫の第二段階の「プロセルコイド」に成長します。

④ケンミジンコがこんどはカエル(第二中間宿主)に捕食(もしくは偶然吸い込まれる)され、
幼虫の第三段階「プレロセルコイド」になります。
プレロセルコイドはネバネバしたひも状のもの。
ふやけたイカそうめんみたいな感じ。

④’このプレロセルコイドに寄生されたカエルをヘビ(待機宿主)が食べると、
プレロセルコイドは成長せずにそのままヘビに寄生します。
この状態にあるのが写真のガラスヒバァの状態です。
プレロセルコイドは細長いのですが、丸まって皮膚の下に入っているので、
ぷよぷよした皮膚の下の腫瘤として見られます。

⑤プレロセルコイドに感染したカエルやヘビを哺乳類(終宿主)が食べると、
プレロセルコイドは腸内で成長し、成虫になります。
これで一周ですね。

人間は第二中間宿主のカエルや待機宿主のヘビを生で食べるようなことがなければ、感染は起こりません。

また、寄生されてもあまり強い病害は示しません。
濃厚に感染した場合に胃腸の動きが悪くなったり、
栄養を横取りされすぎて思うように栄養を取れないなどの障害は起こりますが。

治療は医師にかかるでもよし、
市販の虫下し(種類が違うと落ちないので注意)でも落とせます。

さて、ヘビへの病害ですが、これもあまり強い病害は示しません。
ただ、皮膚の下や筋肉の中で動き回るので腫れが移動して消えたり出たりします。

また、移動中に変なところに入って障害を起こす可能性はあるかもしれません。

治療はいくつか考えられますが、
ひとつは腫れた部分を小切開してプレロセルコイドを引っ張り出す方法です。
途中で千切れてしまうと残った部分が再生することもあるので、
取り残しに注意しますが、それほど難しい技術ではありません。

しかし、小切開でもオペなので麻酔が望まれるし、
その後の傷口が感染して炎症を起こさないように管理する必要があるので、
ヘビを治療できる獣医医院に掛かるのが間違いがないでしょう。

他に、条虫の虫下しも効きます(用量には注意)が、
プレロセルコイドの死骸が皮膚の下で遺残してしまうこともあるようです。

よほどの病害が感じられない場合は、
そのまま放っておくという方法がいい場合もあります。

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6月 19

2009.05のケース(沖縄本島、アカマタ)です。

Picture

アカマタの体に小石がついていました。
なにかの粘液質が出ていて体に石が付いているのかと思ったら、

Picture

ダニでした。

Picture

吸血して膨れているのでわかりにくいですが、ダニの薄い褐色の部分は腹にあたり、
よこにちまちまとくっついてる線状のものが脚です。

口吻はアカマタの体内に刺さっています。

爬虫類につくダニは大別して2種類で、
ひとつが写真のようなマダニの系列。
もうひとつが小さなダニです。
(ツツガムシとか、昆虫についてるような奴とか)

このダニはキララマダニの仲間と思われますが、
詳細は不明です。
(マダニにもシュルツェマダニ・ヤマトマダニ・オウシマダニなど様々な種類があります)

キララマダニの名前の由来は背甲板がキラキラ光ったり、
なんか綺麗な模様があったりなのでそう呼ばれるみたいです。

日本に産するキララマダニの仲間は地味だそうです。
ウミヘビキララマダニを研究していた方からお話を伺いました。
参考→画像検索(キララマダニ

画像に表示されているときの体型のダニは血を吸っていないときの大きさのダニです。

基本的にマダニはたっぷり血を飲んで飽血すると落下します。

病害としては、刺さった部分の炎症、脱皮時などには脱皮障害などが一時被害として考えられます。

また他の動物でも一般的ですが、
ダニは吸血時に、他個体から吸い出した病原体を吸血している動物に感染させることがあります。

哺乳類では原虫のような寄生虫(血液原虫)、リケッチアなどを媒介することが知られています。
ヘビではヘビの封入体病(こちらの記事で少し触れています)の媒介者としての存在が疑われています。

どちらにせよ、ダニに刺されていいことはありません。

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5月 16

2009.05のケース(関東、シマヘビ)です。

Picture

このポストでは表題を「Star Gazing」(スター・ゲイジング)としてあります。

直訳すれば「星を眺める」ということですが、
ヘビが中空を仰ぎ見る様子を取って「Star Gazing」と呼びます。

普通に鎌首をもたげているわけではなく中空を仰ぎ見る角度で体勢を保っている場合、
病気があるかもしれません。

目的物がその目線の先にないのに「Star Gazing」を続ける場合、
ヘビは何らかの理由があってこの姿勢をしています。

獣医学的にわかっている範囲では、たとえば呼吸困難を起こしている場合や
脳神経系の障害(ヘビ封入体病など)によって「Star Gazing」することが
知られています。

写真の個体も「Star Gazing」の状態ですが、もっと上を仰ぎ見ることもあります。
また、写真の個体はずっと口を開けっ放しでした。(何かに対して威嚇しているのではありません)

ヘビは平常時は口を閉じているものです。
口を開け放すのにも理由があり、
口の中に障害を持つ場合や呼吸しやすいように開けている場合もあります。

写真では判別はつきませんが、
「Star Gazing」と開口維持は肺炎等が疑われるケースです。

また、5月初旬という低温時なので肺炎などの呼吸器疾患は起きやすい時期です。

重度の肺炎になるとレントゲンでも肺の炎症により確認することが可能だと思います。
また、呼吸器疾患の場合は口や鼻周りに粘液や漿液を分泌している場合があります。

症状が重度に確認される個体では予後が悪いこともあります。

抗生物質を投与し、呼吸器機能を回復させて食欲を取り戻さないと厳しいでしょう。

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4月 17

2009.04のケースです。

最近、両生類の大量死する病気が発生する恐れが指摘されています。
カエルツボカビ症やラナウイルス症などが発生する恐れもあるので、
水辺でよく見られる別原因の死体を表示しておきましょう。

Picture

これは上記のような感染症による死亡ではないと思われます。

白くモヤモヤしているのは、カビなどの繁茂ではなく未受精卵です。

このエゾアカガエルは産卵のために水辺に来たところを何かに襲われて死亡した模様です。

未産卵ですが、襲われて腹部が裂け卵が水中へと出てしまったようです。

おなかの中にあるときの卵は、水を吸っていないため、あまり大きくありませんが、
体内から水中へ出されると水を吸って大きくなります。

そのため、写真のようにとても腹の中にあったとは思えない量の卵が出てしまっているように見えます。

カエルやサンショウウオは一斉に集まって産卵することも少なくないため、
そこをいろいろな動物に襲われます。

イタチ類だったり猛禽類だったり、ヘビだったり。
こういうものに襲われた死体の残骸などは意外と産卵地周辺で見られます。

こういったものと、重要な感染症で死亡した個体を少しでも見分ける一助になれば幸いです。

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4月 17

2009.02のケースです。

疥癬症のキタキツネと同様ですが、尾に強く症状の出たケースです。
このキタキツネは脱毛は尾が著しいですが、
下半身に強いかゆみを覚えており、頻繁にかきむしっていました。

Picture

症状の詳細は疥癬症のキタキツネをご覧ください。

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1月 10

飼育個体のアオダイショウです。
生まれたときから、尾が曲がっているということでした。

Picture

よりアップの画像をどうぞ。

Picture

ヘビの体が異様な曲がりをして固定されている場合には、奇形が強く考えられます。

他に起こりうる原因として骨折後、曲がって治癒したなども考えられますが、
ヘビの場合は骨折が起こるのは主に椎骨であり、
骨が治癒する(神経は断裂したまま治癒しないことが多いが)ときは曲がったまま固着するすることは考えにくい。
(患部を曲げたまま、ずっとじっとしていればこういう形の治癒もありうるけれど)

生活に支障のない部位なので、治療はしない。
(奇形の場合も、骨折の場合も)

スレなどの擦過傷は出来ることがあるので、飼育している動物でそういう事例が起きた場合には
飼育環境などを少し考えた方がいいと思われる。

この曲がった部分が体の上位であればあるほど、生活の支障が出るものと思われます。

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